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CPAとは?計算方法と目標CPAの決め方|ROASとの使い分け

計算式とCPO・CACとの違い、送料や決済手数料まで引いた限界CPAの出し方、目標を低くしすぎたときに起きること、ROASとの使い分けまで。

この記事で分かることCPAは「広告費 ÷ コンバージョン数」で、1件の獲得にかかった費用です。目標CPAは他社の平均から借りるものではなく、1件売れたときに手元に残る金額(限界CPA)から逆算します。ECでは原価のほかに送料・決済手数料・梱包費を引かないと、限界CPAを高く見積もってしまいます。

CPAは広告のレポートでいちばんよく見る数字ですが、「いくらなら合格か」は、自社の商品で計算してみないと答えられません。解説記事を読むと「限界CPA=売上 − 原価 − 経費」という式までは出てきます。ただ、その「経費」に何を入れるのかが書かれていないので、ECの担当者が自社の数字に当てはめようとすると手が止まります。

この記事では、CPAの計算式と似た指標との違いを整理したうえで、ECで限界CPAと目標CPAを出す手順を、引くべき費用の内訳まで含めてまとめます。あわせて、目標を低くしすぎたときに何が起きるか、管理画面のCPAをそのまま信じてはいけない理由、ROASとの使い分けも書いています。広告の管理画面の表記は2026年10月時点のものです。

CPAとは?計算式と読み方

CPAは Cost Per Acquisition(または Cost Per Action)の略で、「シーピーエー」と読みます。広告で1件の成果を得るのにかかった費用です。日本語では顧客獲得単価、コンバージョン単価とも呼ばれます。

CPA = 広告費 ÷ コンバージョン数

広告費コンバージョン数CPA
300,000円100件3,000円
300,000円60件5,000円
500,000円100件5,000円

式は単純ですが、分母の「コンバージョン」に何を数えているかで数字の意味が変わります。ECなら購入を数えるのが基本です。カート追加や会員登録までコンバージョンに含めていると、CPAは安く見えますが、売上とはつながりません。レポートを見るときは、まず何を1件と数えているのかを確認します。

管理画面では何という名前で出ているか

媒体によって呼び名が違います。

媒体レポートの列目標を指定する入札戦略
Google 広告コンバージョン単価目標コンバージョン単価(ヘルプでは「目標アクション単価」の表記もある)
Meta広告結果の単価結果の単価目標

Google 広告の「コンバージョン単価」は、合計費用を[コンバージョン]列の数字で割った値です。[すべてのコンバージョン]列ではないので、メインのコンバージョンに設定していないアクションは分母に入りません。

Google 広告の入札戦略は、2026年6月に表示が変わりました。それまでは「コンバージョン数の最大化」の中で目標値を任意で入れる形でしたが、目標値を指定するものが独立した入札戦略として選べるようになっています。Googleは、これは表示上の変更で入札の動作は変わらないと説明しています。なお公式ヘルプの日本語版では、この入札戦略を「目標コンバージョン単価」と書いているページと「目標アクション単価」と書いているページが混在しています(2026年10月時点)。どちらも同じものを指しています。

CPA・CPO・CACは何が違う?

似た略語が3つあります。違いは「何で割るか」と「どこまでの費用を入れるか」です。

指標式何を見ているか
CPA広告費 ÷ コンバージョン数広告で設定した成果1件あたりの費用
CPO販促費 ÷ 受注件数注文1件あたりの費用
CAC獲得にかけた費用の合計 ÷ 新規顧客数新規のお客様1人あたりの費用

CPAとCPOは、購入をコンバージョンにしているECならほぼ同じ数字になります。分かれるのは、お試し商品やサンプルから入ってもらう通販です。この場合、お試しの申込み1件あたりをCPA、本商品の受注1件あたりをCPOと呼び分ける使い方があります。CPOは通販業界で古くから使われてきた指標で、分子に広告費だけでなく、同梱物やサンプルの費用を含めて計算することもあります。

CACは Customer Acquisition Cost の略で、一般には広告費に加えて、営業や制作にかかった費用まで含めた広い意味で使われます。分母も「新規のお客様の人数」なので、既存のお客様の再購入はここに入りません。

社内で数字を共有するときは、略語よりも「何を何で割った数字か」をひと言添えるほうが確実です。同じCPAという言葉でも、新規だけで割っている会社と、既存のお客様の購入も含めて割っている会社があります。

限界CPAはどう出す?ECで引くもの

限界CPAは、1件売れたときに手元に残る金額です。広告費がこの金額を超えると、その注文は赤字になります。

多くの解説では「売上単価 − 原価 − 経費」と書かれていますが、ECの場合、この「経費」の中身が効いてきます。1件の注文ごとに必ず出ていく費用を、ひとつずつ引いていきます。

項目金額の例補足
平均の注文単価(税抜)8,000円
商品原価−2,800円
送料(自社負担分)−700円送料無料にしている場合は全額
決済手数料−272円3.4%で計算(実際は税込の決済額にかかるので、もう少し増える)
梱包資材・同梱物−100円
限界CPA4,128円

仕入原価だけを引くと、手元に残るのは5,200円です。送料と決済手数料と梱包費を入れると4,128円になり、1,000円以上の差が出ます。原価だけで計算した限界CPAで運用すると、黒字のつもりで赤字の注文を積み上げることになります。

このほか、商材によっては次のものも引きます。

  • モールやカートの販売手数料
  • ポイントやクーポンの原資
  • 返品・キャンセルの見込み(返品率が高い商材ほど効く)
  • 同梱するサンプルやカタログの費用

注文単価も、税込・送料込みの金額ではなく、税抜の商品代金で置きます。消費税は自社の取り分ではないので、ここを税込のまま計算すると、この例では限界CPAが800円(約2割)高く出ます。

目標CPAはどう決める?

限界CPAはあくまで天井です。この金額で獲得し続けると、利益はゼロになります。実際に運用で狙うのは、ここから残したい利益を引いた金額です。

限界CPAと目標CPAの決まり方を、同じ縮尺の棒で比べた図。平均の注文単価が8,000円(税抜)の場合。商品原価2,800円だけを引くと5,200円残るように見える。送料700円、決済手数料272円、梱包100円まで引くと、限界CPAは4,128円。売上の10%にあたる800円を利益として残すと、目標CPAは3,328円。原価だけで計算すると1,072円高く見積もることになる
限界CPAと目標CPAの決まり方。原価だけを引いた場合と、1件ごとの費用まで引いた場合の差(数字は説明用の例。ULTROが作成。画像を押すと拡大できます)

目標CPA = 限界CPA − 1件あたりに残したい利益

上の例で、売上の10%(800円)を利益として残したいなら、目標CPAは3,328円です。

この目標CPAから、検索広告の予算と許容できるクリック単価を出す手順はリスティング広告とは?費用の決め方とECで最初に作る構成にまとめています。

ULTRO NOTES|広告運用リスティング広告とは?費用の決め方とECで最初に作る構成リスティング広告は、検索した語句に連動して検索結果に出る広告です。掲載順位とクリック単価が決まる仕組み、相場ではなく粗利から月の予算を逆算する手順、ECで最初に分けるキャンペーンの構成、P-MAXとの関係をまとめます。

どれだけ残すかに決まった答えはありません。事業の方針で決まります。規模を取りにいく時期なら限界CPAに近いところまで使う判断もありますし、利益率を優先するなら余裕を大きく取ります。限界CPAと目標CPAは、分けて持っておきます。目標CPAしか決めていないと、広告の調子が悪いときに「どこまでなら許せるか」を誰も答えられません。

限界CPAと目標CPAを計算する

注文単価と、1件ごとに出ていく費用を入れると、限界CPAと目標CPAが出ます。初期値は上の表の例です(送料700円と梱包100円は、合わせて800円にしています)。

注文1件の数字
残したい利益

計算はお使いのブラウザの中だけで行われ、入力した数字はどこにも送信されません。ポイントの原資や返品の見込みなど、ほかに引くものがある場合は「送料・梱包など」に足してください。

式は、限界CPA = 注文単価 − 商品原価 − 送料・梱包など − 注文単価 × 決済手数料率、目標CPA = 限界CPA − 注文単価 × 残したい利益の割合 です。ROASの2行は、同じ条件をROASで言い換えたもの(注文単価 ÷ CPA)です。

リピートがある商材は、初回の粗利だけで決めない

定期購入や消耗品のように2回目以降の購入がある商材では、初回の注文だけで限界CPAを決めると、伸ばせる広告まで止めてしまいます。この場合は、一定期間のLTVに粗利率を掛けた金額を上限に置きます。

上限CPA = LTV × 粗利率

ここでいう上限CPAは、リピート分まで含めた限界CPAです。天井であって、目標ではありません。粗利率は、上の表と同じく送料や決済手数料まで引いたものを使うと、初回の限界CPAと基準がそろいます。

もう1つ引いておきたいのが、2回目以降に買ってもらうための費用です。定期便の割引、ポイントやクーポンの原資、同梱物、フォローのメールやLINEの配信費などは、商品の粗利率には入っていません。これを引かずに掛け算すると、上限が実態より高く出ます。『良い売上、悪い売上』では、新規クーポンで集めた10人のうち2人だけが通い続けるラーメン店の試算で、売上で見たLTVの平均は2,800円なのに、クーポンや原価を引いた利益で見ると340円しか残らない例を示しています。値引きで集めたお客様が多い商材ほど、この差は大きくなります。

上限CPA = LTV × 粗利率 − 2回目以降の値引き・維持費

リピートを取るための費用が小さい商材なら、最初の式のままでも大きくはずれません。

ただし、これは回収までの期間ぶん現金が先に出ていく計算です。何か月で回収する前提にするかを、先に決めておく必要があります。LTVの出し方と、回収期間の置き方はLTVの計算方法|実務で使う式とShopifyでの出し方にまとめています。

ULTRO NOTES|CRMLTVの計算方法|実務で使う式とShopifyでの出し方LTVの計算方法を実務で使う形に絞って解説します。累計購入金額÷人数で出すシンプルな定義、Shopifyの顧客コホート分析で12か月LTVと商品別LTVを出す手順、期間の決め方、上限CPAへの変換までまとめました。

実際にどこに置いているかの例として、『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』では、北の達人コーポレーションが、獲得単価の上限をLTVの3〜4か月分に置いているとしています。LTVは、顧客ごとに初回購入から12か月の累計を実績で出して平均する、というのが同書のやり方です。1社の経験にもとづく目安で、商材や資金繰りで変わります。

業界平均のCPAは目標にならない

「業界別の平均CPA」という表を載せている記事があります。出どころをたどると、数年前の海外の広告アカウントを集計したものだった、ということがあります。国も時期も、何をコンバージョンと数えているかも違います。

そもそも、許容できるCPAは単価と粗利で決まります。単価3,000円の商品と30,000円の商品を同じ業界だからと平均しても、どちらにも当てはまらない数字になるだけです。平均値は眺める程度にして、自社の限界CPAから決めるほうが根拠があります。

目標CPAを低くしすぎると何が起きる?

目標CPAは低いほどよい、というわけではありません。

自動入札は、設定された目標に収まりそうなオークションにだけ入札します。目標を下げるほど、参加できるオークションは減ります。Google 広告の公式ヘルプも、目標額が低すぎるとコンバージョンにつながるクリックを逃し、合計のコンバージョン数が少なくなる可能性があると書いています。Meta広告のヘルプも、配信が伸びないときの対処として、結果の単価目標を上げることを挙げています。

数字で見ると、こうなります。限界CPAが4,128円の商品で比べます。

限界CPAが4,128円の商品で、目標CPAを3,300円と2,500円に置いた場合を比べた図。1件あたりに残る金額は、3,300円のとき828円、2,500円のとき1,628円で、2,500円のほうが多い。残る金額の合計は、3,300円で100件なら82,800円、2,500円で40件なら65,120円で、3,300円のほうが多い。CPAは効率の指標で、利益の総額を表す指標ではない
目標CPAを下げたときの、1件あたりに残る金額と、残る金額の合計(件数は説明のための仮の数字。ULTROが作成。画像を押すと拡大できます)

表にすると、次のとおりです。

目標CPA獲得件数広告費1件あたりに残る金額残る金額の合計
3,300円100件330,000円828円82,800円
2,500円40件100,000円1,628円65,120円

CPAは下の行のほうが良く見えますが、残る金額の合計は上の行のほうが多くなります(件数は説明のための仮の数字です)。CPAは効率の指標であって、利益の総額を表す指標ではありません。CPAは必ず件数と並べて見る、というのが実務での基本です。

『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』も、同じことを「寸止め」という言い方で書いています。獲得単価を上げると件数は増えますが、どこかで利益の額が減り始めます。その直前が最適な獲得単価だ、という主張です。

目標値を変えたあと、いつ判断するか

目標を変えた直後の数字は当てになりません。媒体が公式に示している目安は次のとおりです。

媒体公式の目安
Google 広告学習は、コンバージョン50回程度またはコンバージョン サイクル3回程度が目安。成果の評価は過去30日間で、30件以上のコンバージョンを含めて行う
Meta広告週50件以上のコンバージョンがある広告セットで機能しやすい。目標を変えたら7日以上待ち、1日単位ではなく週の平均で見る

よく「目標値の変更は一度に20%まで」と言われますが、今回確認した範囲では、Google 広告の公式ヘルプにこの数字は見つかりませんでした。経験則としては分かりますが、公式の決まりとして扱う根拠はありません。

2026年8月の変更:予算に余裕がないキャンペーンは目標に近づく

もうひとつ、Google 広告で2026年8月17日に入った変更があります。これまで、予算による制限を受けているキャンペーンでは、実績が目標より良い数字で推移することがありました。変更後は、設定した目標値に近づくように動きます。Googleが挙げている例は、目標1,000円で実績が500円だったキャンペーンが、1,000円に寄っていくというものです。

つまり、「とりあえず高めに入れておいた目標値」が、そのまま実績になる可能性があります。予算いっぱいで回っているキャンペーンは、目標値が本当に許容できる金額になっているかを見直しておくほうが安全です。

管理画面のCPAをそのまま信じてはいけない理由

管理画面のCPAは、その媒体が自分の基準で数えたコンバージョンで割った数字です。実際にショップで起きた注文と一致するとは限りません。

クリックした日に計上される Google 広告のコンバージョンは、購入した日ではなく、広告をクリックした日に計上されます。先週クリックして今週買った注文は、先週の成果になります。このため直近数日のCPAは、後から購入が積み上がって下がっていきます。昨日や一昨日の数字だけで判断すると、悪く見えすぎます。

同じ注文を複数の媒体が数えている Googleの広告を見たあとMetaの広告をクリックして買った場合、両方の管理画面に1件ずつ計上されることがあります。各媒体のコンバージョン数を足すと、実際の注文数を超えます。

カウント方法の設定で件数が変わる Google 広告には、コンバージョンのカウント方法として「全件(すべて)」と「初回のみ(1回)」があります。購入は「全件」で数えるのが通常なので、1回のクリックのあとに2回買った人は2件です。お客様の人数で割ったCPAとは一致しません。

計測の仕組みが違う Googleは公式ヘルプで、Google アナリティクスなど他のツールと比べると、アトリビューションの違いで「最大 20% の差異が生じることがあります」と書いています。媒体と自社の数字が合わないのは、設定ミスではなく仕組みの違いであることが多いです。

ショップ側の数字で割って確かめる

そこで、管理画面とは別に、ショップ側の数字で全体を確かめます。

全体のCPA = 広告費の合計 ÷ ショップ側の新規顧客数

広告費の合計80万円を2通りの件数で割ったCPAを棒で比べた図。管理画面のコンバージョンの合計220件で割ると約3,636円。ショップ側の新規顧客160人で割ると5,000円。全体のCPAには広告を経由していない新規のお客様も含まれる
管理画面の件数を足したCPAと、ショップ側の新規顧客数で割ったCPA(数字は説明用の例。ULTROが作成。画像を押すと拡大できます)

たとえば、広告費の合計が80万円で、各媒体の管理画面のコンバージョンを足すと220件だったとします。足し算のCPAは約3,636円です。同じ期間のショップ側の新規のお客様が160人なら、全体のCPAは5,000円です。

この数字には広告を経由していない新規のお客様も含まれるので、広告だけの成績ではありません。それでも、媒体の自己申告を足した数字よりは実態に近く、月ごとに並べれば「広告費を増やしたぶん、新規が本当に増えたか」が分かります。管理画面のCPAが良くなっているのに全体のCPAが悪化しているなら、同じ人を複数の媒体で数えているか、もともと買うはずだった人に広告を当てている可能性があります。

新規と既存を分けて広告を評価する考え方は、純増の広告運用に書いています。

CPAとROASはどう使い分ける?

CPAとROASは、同じことを別の角度から見ています。

ROAS(倍)= 客単価 ÷ CPA

客単価8,000円でCPAが3,200円なら、ROASは2.5倍(250%)です。片方を決めれば、もう片方も決まります。違いは、どんな商材で扱いやすいかです。

CPAが向いているROASが向いている
注文単価ほぼ一定商品や購入点数でばらつく
商材の例定期便の初回、単品通販、リード獲得総合EC、アパレル、単品とセットが混ざるサイト
指示の出しやすさ「1件3,300円まで」と金額で伝わる単価に応じて許容額が自動で変わる
必要な計測コンバージョンの件数件数に加えて購入金額

注文単価が3,000円から50,000円までばらつくサイトでCPAを一本で置くと、高額の注文には緩すぎ、少額の注文には厳しすぎる基準になります。こうしたサイトはROASで指定するほうが噛み合います。逆に、初回価格が決まっている定期便のような商材は、CPAのほうが判断が速くなります。

ROASの計算と目標の決め方はROASとは?計算式とCPA・ROIとの違い、目標の決め方にまとめています。

ULTRO NOTES|広告運用ROASとは?計算式とCPA・ROIとの違い、目標の決め方ROAS(ロアス)は広告費に対して売上がどれだけ返ってきたかを見る指標です。計算式と単位の使い分け、CPA・ROIとの違い、粗利率から目標ROASを逆算する手順、単価の幅が大きいサイトや商品別に目標を分けるべきケースまでまとめます。

CPAを下げるには、どこを動かす?

CPAは2つの数字に分解できます。

CPA = クリック単価(CPC)÷ CVR

クリック単価60円、CVR1.5%なら、CPAは4,000円です。これを3,300円前後まで下げるには、道が2本あります。

動かす場所変化結果のCPA
CVR1.5% → 1.8%約3,333円
クリック単価60円 → 50円約3,333円

式の上では同じ効きですが、動かしやすさが違います。クリック単価は競合の入札やオークションの状況に左右されるので、自社だけでは決まりません。CVRは商品ページやカート、チェックアウトの改善で上げられ、広告を止めても効果が残ります。

CVRから当たるほうが再現性があります。どの段階で離脱しているかの調べ方はECサイトのCVRとは?平均値の見方と改善の優先順位に書いています。

ULTRO NOTES|サイト構築・改善ECサイトのCVRとは?平均値の見方と改善の優先順位ECサイトのCVR(コンバージョン率)の計算式と、業界平均をそのまま使えない理由、自社の目標値の決め方をまとめました。GA4で購入までを5段階に分けて落ちている箇所を特定し、Clarityで原因を見て、どの施策から着手するかを決めるところまで解説します。

もうひとつ、CPAを下げる代わりに限界CPAを上げる、という方向もあります。まとめ買いの導線で注文単価を上げる、送料無料のラインを見直す、2回目の購入につなげてLTVを伸ばす。許容できる金額が上がれば、同じCPAでも使える広告の幅が広がります。

いまのCPAと、目標までの距離を計算する

クリック単価とCVRを入れると、いまのCPAが出ます。目標CPAも入れると、CVRとクリック単価をそれぞれどこまで動かせば届くかが出ます。初期値は上の例の数字です。

いまの数字
目標

計算はお使いのブラウザの中だけで行われ、入力した数字はどこにも送信されません。

式は、CPA = クリック単価 ÷ CVR、目標に届くCVR = クリック単価 ÷ 目標CPA、目標に届くクリック単価 = 目標CPA × CVR です。どちらも、もう片方は変わらない前提で出しています。

結果の読み方として、『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』に、改良を続けるか作り直すかの基準があります。目標に届くCVRが、いまのCVRの3倍以上なら、その広告とランディングページの組み合わせは改良せず、別の案を作る、というものです。著者の経験にもとづく目安ですが、計算結果の「CVRで届かせるなら」の行が3倍を超えたら、見出しやバナーの手直しではなく、誰に何を訴えるかから考え直します。

CPAを見るときに引っかかりやすいところ

新規と既存が混ざっている 既存のお客様の再購入もコンバージョンに入っていると、CPAは安く見えます。すでに買ってくれている人は、広告がなくても買った可能性があります。新規獲得の効率を見たいなら、新規だけで割った数字を別に持ちます。

指名検索のCPAに引っ張られる ブランド名で検索した人への広告は、CPAが極端に安く出ます。アカウント全体のCPAが良く見えても、中身は指名検索ばかり、ということがあります。指名とそれ以外は分けて見ます。

コンバージョンの定義が途中で変わっている 計測タグを入れ直した、コンバージョンの設定を変えた、という時期をまたぐと、前後のCPAは比べられません。数字が急に動いたときは、広告より先に計測の変更履歴を確認します。

件数が少ない期間で判断している 月に数十件のアカウントで週ごとのCPAを見ると、1件の増減で大きく振れます。判断は、ある程度の件数がたまった期間で行います。

参考にした公式情報

よくある質問

CPAとは何ですか?

広告費をコンバージョン数で割った指標で、1件の獲得にかかった費用を表します。Cost Per Acquisition(またはCost Per Action)の略で、「シーピーエー」と読みます。日本語では顧客獲得単価、コンバージョン単価とも呼ばれます。

CPAの計算式を教えてください。

CPA=広告費 ÷ コンバージョン数 です。広告費30万円で購入が100件なら、CPAは3,000円です。クリック単価とCVRが分かっていれば、CPA=クリック単価 ÷ CVR でも出せます。

限界CPAと目標CPAは何が違いますか?

限界CPAは、1件売れたときに手元に残る金額です。これを超えて獲得すると、その注文は赤字になります。目標CPAは、限界CPAから残したい利益を引いた金額です。限界CPAは天井、目標CPAは実際に運用で狙う数字、という関係です。

CPAの平均や目安はどれくらいですか?

共通の目安はありません。許容できるCPAは商品の単価と粗利で決まるので、単価3,000円の商品と30,000円の商品では桁が違います。公開されている業界別の平均値は、国も時期も計測方法も自社とは違うため、目標には使えません。自社の限界CPAを出して、そこから決めます。

CPAとCPOは何が違いますか?

分母が違います。CPAは広告で設定したコンバージョン(購入のほか、会員登録やお試し申込みを含むことがある)、CPOは受注1件あたりの費用です。購入をコンバージョンにしているECなら、ほぼ同じ数字になります。お試し商品から本商品へ引き上げる通販では、お試しの獲得をCPA、本商品の受注をCPOと呼び分けることがあります。

目標CPAは低く設定するほどよいですか?

低くしすぎると配信が減ります。Google 広告の公式ヘルプも、目標額が低すぎるとコンバージョンにつながるクリックを逃し、合計のコンバージョン数が減る可能性があると説明しています。CPAは下がっても件数が落ちれば、残る利益の総額は減ります。CPAと件数は必ず並べて見ます。

CPAとROASはどちらを見ればいいですか?

注文単価がそろっているならCPA、ばらつくならROASが向いています。ROAS(倍)=客単価 ÷ CPA の関係があるので、片方を決めればもう片方も決まります。定期便の初回のように単価が固定の商材はCPAで管理しやすく、単品とセットが混ざるサイトはROASで指定するほうが噛み合います。

まとめ
  • CPA=広告費 ÷ コンバージョン数。クリック単価 ÷ CVR でも出せる
  • 限界CPAは1件売れたときに手元に残る金額。ECでは原価のほかに送料・決済手数料・梱包費まで引く
  • 目標CPA=限界CPA − 残したい利益。リピートがある商材は、LTVから上限を決める
  • 目標を低くしすぎると配信が減る。CPAだけでなく件数と、残る利益の総額を見る
  • 管理画面のCPAは媒体ごとの自己申告。全体はショップ側の新規顧客数で割って確かめる
  • 注文単価がそろっていればCPA、ばらつくならROASで管理する

この記事を書いた人永田 龍史

株式会社ULTRO 代表取締役

Shopify Partner。Shopifyストアの構築・保守・広告運用・CRMを一気通貫で担当。個人として運用した広告費は累計40億円超。計測設計から逆算して、利益が伸びる仕組みを作っています。Google 広告の認定資格(検索・ディスプレイ・動画・ショッピング・アプリ・P-MAX・測定)と Google アナリティクス認定資格を保有。

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