広告運用代行の手数料はなぜ広告費の20%?相場と、料率だけで選ばない理由

手数料の3つの型と相場、20%が基準になった経緯、料率だけ見ると判断を誤る理由、手数料に含まれるもの、見積もりで確認することまで。
広告運用を代理店に頼もうとして見積もりを取ると、多くの会社が「広告費の20%」を手数料にしています。なぜ20%なのか、高いのか安いのか、固定の月額にしている会社と比べてどちらが得なのか、と迷う人は多いはずです。
この記事では、広告運用代行の手数料の型と相場、20%が基準になった経緯、料率だけを見て選ぶと判断を誤る理由、手数料に含まれるもの、見積もりで確認することをまとめます。
広告運用代行の手数料は、3つの型がある
広告運用代行の手数料には、大きく3つの型があります。
| 型 | 決め方 | 相場の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 料率型 | 広告費に対する割合 | 広告費の20%前後(15〜25%程度)。最低手数料は月5万円前後が多い | 広告費が月数十万円以上あり、増減する |
| 固定型 | 月額で決める | 月5万〜30万円程度。作業量や媒体の数で変わる | 広告費が少ない、または大きく動かない |
| 成果報酬型 | 売上や獲得件数に応じる | ECでは売上の数%〜15%程度、問い合わせなら1件あたりの金額 | 成果の数え方を、代理店と合意できる |
相場の数字は、各社が公開している料金表や、比較記事に載っている数字を並べたものです。ほとんどの会社が料率型で、なかでも20%を基準にしています。
料率型と固定型を組み合わせて、「固定の月額+広告費の◯%」にしている会社もあります。成果報酬型は、何を成果として数えるかで揉めやすいので、扱っている会社は多くありません。
なぜ「広告費の20%」が基準になったのか
20%という数字は、作業にかかる時間から計算したものではありません。日本で検索連動型広告が広がり始めたころに、媒体側が決めた比率が残ったものです。
Web担当者Forumの連載「インターネット広告創世記」では、当時の関係者が次のように振り返っています。
- 2002年ごろ、Overture(のちにYahoo!の検索広告になる)は、広告代理店を通じて出稿する場合に限って広告費を20%上乗せする「マネージメントフィー」を設けた
- Googleの担当者も、日本独自に、媒体費の20%を代理店の手数料(Agency Commission)とする案を考えた
テレビや雑誌などのマス広告では、媒体費の一部を代理店の取り分とするコミッションの形が以前からありました。検索広告でも同じように、広告費の一定割合を代理店に払う形が取られ、その比率が20%でした。連載の筆者は、このときの20%が、いまも運用手数料の基準になっていると書いています。
つまり、20%が妥当かどうかは、代理店がその広告費の中でどれだけの作業をするかで決まります。広告費が多くても作業がほとんど変わらなければ割高になり、広告費が少なくても作業が多ければ割安になります。
料率だけで比べると、判断を誤る理由
料率型の手数料は分かりやすい反面、料率だけで比べると見落とすところが2つあります。
広告費が少ないと、実際の料率は20%を大きく超える
料率型の多くは、最低手数料を決めています。最低手数料があると、広告費が少ないうちは、払う手数料が広告費の20%を超えます。料率20%、最低手数料5万円の場合で、先に図で示します。
表にすると、次のとおりです。
| 月の広告費 | 手数料 | 広告費に対する割合 |
|---|---|---|
| 10万円 | 5万円(最低手数料) | 50% |
| 15万円 | 5万円(最低手数料) | 33% |
| 20万円 | 5万円(最低手数料) | 25% |
| 25万円 | 5万円 | 20% |
| 50万円 | 10万円 | 20% |
広告費に対する手数料の割合は、最低手数料 ÷ 料率 で出る金額(この例では25万円)を超えたところで、はじめて20%になります。広告費が少ないうちは、料率ではなく最低手数料で比べたほうが、実際に払う金額が分かります。
広告費を増やすほど、代理店の取り分が増える
料率型では、広告費を増やせば、代理店の手数料は必ず増えます。売上が増えたかどうかとは関係がありません。
そのため、「広告費を増やしましょう」という提案は、増やした分で粗利がいくら増えるかで判断します。先に図で示します。
上の例では、月の広告費を50万円増やして、売上が100万円増えています。増やした分だけで見たROASは200%です。粗利率が40%なら、増えた粗利は40万円です。一方で、増えた支出は広告費50万円と手数料10万円で60万円なので、増やした分は20万円の赤字です。売上が200万円増えた下の例なら、増えた粗利は80万円で、20万円の利益が残ります。
アカウント全体のROASが高いままでも、増やした分だけを見ると赤字になっていることがあります。ROASと粗利の関係は、ROASの記事にまとめています。
料率型が悪いわけではありません。広告費を増やして粗利も増えるなら、代理店と広告主の利益はそろいます。増額の提案を受けたら、期間を決めて試し、増やした分の広告費と手数料より、増えた粗利が大きいかどうかを確かめます。
手数料に含まれるもの、別料金になりやすいもの
同じ20%でも、手数料に含まれる作業は会社によって違います。各社の料金表を見ると、おおむね次のように分かれています。
| 作業 | 手数料に含まれるか |
|---|---|
| 入札、予算、配信先の調整 | 含まれることが多い |
| キャンペーンの作成と設定 | 含まれることが多い(初期費用にする会社もある) |
| 広告文の作成 | 含まれることが多い |
| 月次のレポート、定例の打ち合わせ | 含まれることが多い(詳しい分析は別料金の会社もある) |
| 計測タグ、コンバージョンの設定 | 会社によって分かれる(初期費用にする会社が多い) |
| 商品フィードの整備 | 会社によって分かれる |
| バナー、動画の制作 | 別料金が多い |
| LP(ランディングページ)の制作 | 別料金が多い |
ECの広告では、計測の設定と商品フィードが成果を大きく左右します。購入のデータが正しく媒体に届いていないと、媒体の自動入札は正しく学習できません。ここが手数料に含まれているのか、別料金なのか、どちらにも入っておらず誰もやらないのかは、見積もりの段階で確認しておきます。
見積もりで確認すること
広告運用代行の見積もりを比べるときは、料率に加えて、次の5つを確認します。
- 最低手数料と、実際の料率:自社の広告費で計算すると、手数料はいくらになるか
- 手数料に含まれる作業:計測の設定、商品フィード、制作物、レポートのどこまでが入っているか
- アカウントの名義:広告アカウントを自社の名義で作り、代理店にはアクセス権を渡す形にできるか
- 成果を評価する数字:媒体の管理画面のCPAやROASだけで評価するのか、Shopifyの売上や粗利、LTVまで見るのか
- 最低契約期間と解約の条件:解約したときに、アカウントや配信の履歴がそのまま自社に残るか
3は、解約したときに大きく効きます。代理店の名義のアカウントで運用していると、解約したときに、配信の履歴や学習したデータを持ち出せないことがあります。自社の名義で持っていれば、権限を外すだけで済みます。渡し方は、Google広告の権限付与の記事とMeta広告の権限付与の記事にまとめています。
ULTROの手数料
ULTROの広告運用は料率型で、手数料は広告費(税抜)の15%、最低月額は10万円(税抜)です。最低月額があるので、広告費が月約67万円を下回ると、広告費に対する手数料の割合は15%を超えます。広告費が月100万円以上あると、費用の見合いが取りやすくなります。
料率は、媒体の数が増えても変わりません。計測環境の構築とタグの設置、商品フィードのメンテナンス、Shopifyの顧客セグメントと媒体のオーディエンスの連携は、手数料に含めています。成果は、媒体の管理画面のCPAやROASだけでなく、新規の獲得とLTVで評価します。詳しくは純増の広告運用のページにまとめています。
参考にした情報
よくある質問
広告運用代行の手数料の相場は、どのくらいですか?
最も多いのは、広告費の20%前後を手数料にする料率型です。会社によって15〜25%程度の幅があり、広告費が少ないときのために、月5万円前後の最低手数料を決めている会社が多くあります。このほかに初期費用がかかる場合もあります。
なぜ手数料は広告費の20%なのですか?
2002年ごろ、日本で検索連動型広告が広がり始めたとき、Overtureは代理店経由の出稿に限って広告費を20%上乗せする「マネージメントフィー」を設け、Googleも媒体費の20%を代理店の手数料とする案を考えたと、当時の関係者が振り返っています。このときの20%が、いまも運用手数料の基準として残っています。作業量から計算した数字ではありません。
広告費が少ないと、手数料は割高になりますか?
最低手数料がある会社では、割高になります。たとえば料率20%、最低手数料5万円の場合、広告費が10万円なら手数料は5万円で、広告費に対して50%です。広告費が25万円を超えて、はじめて20%になります。
広告費を増やしましょうと提案されたら、どう判断すればいいですか?
増やした広告費で、粗利がいくら増えるかで判断します。料率型の手数料では、広告費を増やすと代理店の取り分は必ず増えますが、売上や粗利が増えるとは限りません。増やした分の広告費と手数料の合計より、増えた粗利が大きいかどうかを、試してから確かめます。
手数料のほかに、別料金になりやすいものは何ですか?
バナーや動画などの制作、LP(ランディングページ)の制作は、別料金になっている会社が多くあります。計測タグやコンバージョンの設定、商品フィードの整備、詳しいレポートは、会社によって手数料に含むか別料金かが分かれます。見積もりで1つずつ確認してください。
- 手数料は、料率型(広告費の20%前後)、固定型(月額)、成果報酬型(売上や件数)の3つ。料率型が最も多い
- 20%は、2002年ごろに媒体側が代理店の取り分として設けた比率が、そのまま基準として残ったもの
- 最低手数料があると、広告費が少ないうちは実際の料率が20%を大きく超える
- 料率型では、広告費を増やすほど代理店の取り分が増える。増額の提案は、増えた粗利で判断する
- 制作物やLPは別料金になりやすい。計測の設定やレポートは会社によって分かれる
- 見積もりでは、最低手数料、含まれる作業、アカウントの名義、評価する数字、契約期間を確認する
この記事を書いた人永田 龍史
株式会社ULTRO 代表取締役Shopify Partner。Shopifyストアの構築・保守・広告運用・CRMを一気通貫で担当。個人として運用した広告費は累計40億円超。計測設計から逆算して、利益が伸びる仕組みを作っています。Google 広告の認定資格(検索・ディスプレイ・動画・ショッピング・アプリ・P-MAX・測定)と Google アナリティクス認定資格を保有。
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