F2転換率とは?計算方法と、Shopifyでの出し方・上げ方

計算で先に決める分母と期間、リピート率との違い、平均値が当てにならない理由、Shopifyでの出し方、商品別・流入元別に分解して上げる手順まで。
F2転換率の解説記事を7本読みました。計算式はどの記事も同じで、「2回目を購入した人数 ÷ 初回購入した人数」です。ところが、この式をそのまま自社の数字に当てはめると、たいてい実態より低い数字が出ます。分母に「いつ初回購入した人」を入れるのか、2回目を「いつまで」数えるのかが決まっていないからです。この2つを定義している記事は、7本の中にありませんでした。
平均値についても同じ問題があります。記事によって「15〜25%」「30〜40%」と数字が割れていて、どれも出典が示されていません。
この記事では、F2転換率を正しく計算するために先に決めること、Shopifyの標準機能での出し方、そして全体の数字を分解して手を付ける順番をまとめます。対象は、自社ECを運営していて、リピートの数字を見始めたい方です。Shopifyのヘルプの表記は2026年10月時点のものです。
F2転換率とは?
F2転換率は、初回購入したお客様のうち、2回目の購入に進んだ人の割合です。
FはFrequency(購入回数)の頭文字です。初回購入をF1、2回目の購入をF2、3回目をF3と呼びます。F1からF2に進むことを「F2転換」、その割合を「F2転換率」と言います。通販の現場で使われてきた言葉で、RFM分析のF(購入回数)と同じ考え方です。RFM分析そのものはRFM分析とは?ECでのやり方とShopifyの標準機能で説明しています。
なお、テレビの視聴率で使われる「F2層」(35〜49歳の女性)は、まったく別の言葉です。
なぜ2回目だけを取り出して見るのか
リピートの中でも、多くのストアで、1回目から2回目への移行はいちばん人数が減るところです。2回買ったお客様の多くは、商品を使い、届き方も分かったうえでもう一度選んでいます。1回だけのお客様は、まだお試しの段階です。
新規獲得に使った広告費は、1回の購入だけでは回収できないことが多いので、2回目に進む割合がそのまま広告の採算を左右します。F2転換率を見るのは、ここが最初の分かれ目だからです。
計算式と、先に決める2つのこと
式そのものは単純です。
F2転換率(%)= 2回目を購入した人数 ÷ 初回購入した人数 × 100
ただし、計算する前に2つ決めておくことがあります。
- 分母:いつ初回購入した人を対象にするか
- 期間:初回購入から何日以内の2回目を数えるか
たとえば、こう決めます。
4〜6月に初回購入した人のうち、初回購入から90日以内に2回目を購入した人の割合
この形で書けていれば、来期も同じ条件で計算でき、数字を比べられます。
全期間でまとめて割ると、低く出る
決めずに計算すると何が起きるかを、例で見ます。
数字は、次のとおりです。
| 計算のしかた | 初回購入した人数 | うち2回以上購入 | F2転換率 |
|---|---|---|---|
| これまでの全顧客で割る | 5,000人 | 1,000人 | 20.0% |
| 初回購入から90日以上たった人だけで割る | 3,500人 | 950人 | 27.1% |
同じストアの同じ時点の数字です。上の行の5,000人には、直近90日以内に初回購入した1,500人が含まれています。この人たちの多くは、まだ2回目を買う時間がなかっただけです。それを「2回目を買わなかった人」として分母に入れているので、率が下がります。
この計算のしかたには、もうひとつ困った性質があります。新規のお客様が増えた月ほど、F2転換率が下がって見えることです。広告を強めて新規が増えると、分母だけが先に膨らみます。リピートの施策は何も変わっていないのに、数字は悪化します。
F2転換率は、初回購入から十分な日数がたった人だけを対象に計算します。このように、同じ時期に初回購入した人をひとまとまりにして追う見方を、コホート分析と呼びます。
自社の数字で、差を確かめる
全顧客で割った場合と、初回購入から十分な日数がたった人だけで割った場合を、並べて出せます。初期値は上の表の数字です。区切りの日数は、90日でなくても構いません。
計算はお使いのブラウザの中だけで行われ、入力した数字はどこにも送信されません。
式は、F2転換率 = 2回以上購入した人数 ÷ 初回購入した人数 です。下の行は、全顧客から日が浅い人を引いた人数で計算しています。
何日で区切るかは、商材で決める
「何日以内」に決まった数字はありません。商品を使い切るまでの日数が手がかりになります。
- 1か月ほどで使い切る消耗品なら、60〜90日
- 数か月に1度買う商材なら、180日
- 季節ごとに買い替える商材なら、1年
短すぎると、買うつもりの人がまだ買っていない段階で切ることになります。長すぎると、結果が分かるまでに時間がかかり、施策の効果を確かめるのが遅れます。迷ったら90日で始めて、後の節で説明する「2回目までの日数の分布」を見てから調整します。
リピート率・リピーター率とは何が違う?
似た言葉がいくつもあり、ここで混乱が起きます。
| 指標 | 分母 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| F2転換率 | ある期間に初回購入した人 | 新規のお客様が2回目に進む割合 |
| リピート率 | 定義がまちまち | 記事やツールによって違う |
| リピーター率(Shopify) | その期間に注文したお客様全員 | その期間の注文客のうち、過去にも買っていた人の割合 |
「リピート率」には決まった定義がありません。今回読んだ記事でも、3本がそれぞれ違う式を書いていました。社内や取引先と数字を共有するときは、言葉ではなく式で確認するほうが安全です。
Shopifyのストア分析に出る「リピーター率」は、期間内に注文したお客様のうち、過去にも注文があった人の割合です(Shopifyのコミュニティで、スタッフがこの式を示しています)。これは「今月の注文のうち、どれだけが既存のお客様によるものか」を表す数字で、新規のお客様がリピートしたかどうかは分かりません。新規獲得を止めれば、リピーター率は上がります。F2転換率の代わりにはなりません。
平均や目安は、なぜ当てにならない?
「F2転換率の平均は◯%」という数字を探している方は多いと思います。今回調べた範囲では、調査の主体・時期・サンプルが示された平均値は見つかりませんでした。
記事に出てくる数字を並べると、こうなります。
| 記事に書かれていた数字 | 出典の記載 |
|---|---|
| 平均15〜25% | なし |
| 30〜40%が目安 | なし |
| 30〜40%が合格ライン | なし |
| 20〜50%が目安 | なし |
同じ指標の平均が、15%から50%まで割れています。これは、どこかの数字が間違っているというより、そもそも定義がそろっていないことの表れです。90日で区切った数字と1年で区切った数字は、同じストアでも大きく違います。消耗品と家具でも違います。
目安にするなら、他社の平均ではなく、自社の前の期の数字です。同じ定義で出した前期のF2転換率と比べて、上がったか下がったかを見ます。
定期購入の商材では、意味が変わる
定期購入(サブスクリプション)で売っている商材は、注意が要ります。
定期購入では、解約しない限り2回目のお届けが自動で発生します。お客様が「もう一度買おう」と判断して注文するわけではありません。このため、定期購入のF2転換率は、実質的には2回目のお届け前に解約されなかった割合になります。
| 都度購入 | 定期購入 | |
|---|---|---|
| F2転換率が表すもの | もう一度買ってもらえた割合 | 初回で解約されなかった割合 |
| 低いときの原因 | 思い出してもらえていない、買う理由がない | 初回で期待と違った、使い方が分からない、届く間隔が合わない |
| 打ち手 | 再購入の案内、使い切る頃の連絡 | 初回のお届け後のフォロー、お届け間隔の変更やスキップの案内 |
同じストアで都度購入と定期購入の両方がある場合は、混ぜずに分けて計算します。
定期のフォローでは、連絡の中身に気をつけます。『LTVの罠』(垣内勇威)には、健康食品や化粧品の定期で、飲み忘れを防ぐための連絡が「商品がたまっている」ことを思い出させ、かえって解約を増やしたという例が出てきます。初回のお届け後に送るのは、残量の確認ではなく、使い始めのつまずきを減らす案内です。
ShopifyでF2転換率を出す
Shopifyでは、追加のアプリを入れなくても標準機能で出せます。方法は2つあり、役割が違います。
1. 顧客セグメントで、いまの数字を出す
管理画面の[顧客管理]>[セグメント]で、条件を指定してお客様の人数を出せます。2つのセグメントを作って、人数を割ります。
分母:初回購入から90〜180日たったお客様
first_order_date BETWEEN -180d AND -90d
分子:そのうち、2回以上購入したお客様
first_order_date BETWEEN -180d AND -90d AND number_of_orders >= 2
first_order_date は「初回注文日」、number_of_orders は「注文数」のフィルターです。-90d は90日前を表します(構文はShopifyのヘルプに沿って書いています)。
分子の人数を分母の人数で割れば、「初回購入から少なくとも90日たったお客様のF2転換率」になります。
ひとつ注意があります。この方法では、2回目を数える期間がお客様によって90日から180日までばらつきます。「90日以内」と厳密にそろえた数字ではありません。それでも、毎月同じ条件で出せば推移は追えます。厳密にそろえたい場合は、次のコホート分析か、注文データを書き出して計算します。
2. 顧客コホート分析で、月ごとの流れを見る
ストア分析のレポートに「顧客コホート分析」があります。各行が「同じ月に初回購入したお客様のグループ」、各列が「初回注文から何か月目か」を表す表です。
指標を「顧客維持率」にすると、各グループのうち、その月に再購入した人の割合が出ます。見どころは2つです。
- 横に見る:初回購入から何か月目に再購入が多いか。2回目のタイミングの見当がつきます
- 縦に見る:初回購入の月によって、その後の再購入の割合が違うか。セールで獲得した月のグループだけ低い、といったことが分かります
このレポートの「顧客維持率」は、その月に再購入した人の割合です。「3か月目までに1度でも再購入した人」という累計ではありません。1か月目と2か月目の数字を足しても、同じ人が両方の月に買っていれば二重に数えることになるので、F2転換率そのものにはなりません。いまの数字はセグメントで、流れはコホート分析で、と使い分けます。
このレポートが便利なのは、初回注文に条件を付けられる点です。Shopifyのヘルプによると、コホートの定義で、販売チャネル、マーケティングチャネル、商品名、定期購入などで絞り込めます(実際の画面では「参照元チャネル」「初回注文の商品」のように、ヘルプと項目名が違うことがあります)。次の節の「分解」に、そのまま使えます。
全体の数字を分解する
F2転換率が全体で27%だと分かっても、そこからは打ち手が出てきません。中身を分けると、どこに手を付けるかが見えてきます。
初回購入商品で分ける
いちばん差が出やすいのが、最初に何を買ったかです。
数字は、次のとおりです。
| 初回購入商品 | 初回購入した人数 | F2転換率 |
|---|---|---|
| 商品A(定番の消耗品) | 1,200人 | 40% |
| 商品B(お試しセット) | 1,500人 | 25% |
| 商品C(セール対象の単品) | 800人 | 12% |
(数字は説明のための例です)
この例なら、商品Cから入ったお客様はほとんど戻ってきていません。商品Cを広告の入口にしているなら、初回のCPAが安く見えても、その後の売上は積み上がっていないことになります。逆に、商品Aから入ったお客様はよく戻ってきているので、広告で商品Aを前に出す、という仮説が立ちます。ただ、商品Aを選ぶお客様は、もともと戻ってきやすい客層だという可能性もあります。広告の予算を一部だけ商品Aに寄せて、その月に入ったお客様のF2転換率が実際に上がるかを確かめてから、全体を切り替えます。
初回購入商品で分けるときは、コホート分析のコホートの定義で商品を指定します。セグメントの products_purchased(購入した商品)は、2回目以降にその商品を買った人も含むので、この用途には向きません。
流入元で分ける
どこから来たお客様かでも差が出ます。広告経由、検索経由、SNS経由、メルマガ経由で、初回購入後の動きは違います。大幅な値引きを訴求した広告から来たお客様は、通常価格では買わないことがあります。
コホート分析の定義で、マーケティングチャネルを指定して比べます。初回のCPAだけで広告を評価していると、戻ってこないお客様を安く集めている媒体が、いちばん良い成績に見えてしまいます。広告の評価にF2転換率を重ねると、判断が変わることがあります。
初回の値引きの有無で分ける
3つ目の軸は、初回にどんな条件で買ったかです。『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』(木下勝寿)は、初回の割引が大きいほど、その後の購入は続きにくいとしています(著者の経験にもとづく見解です)。
初回半額やクーポンで買ったお客様と、通常価格で買ったお客様で、F2転換率を分けて出します。注文データを書き出し、初回注文にディスカウントが付いているかどうかで分ければ計算できます。差が大きければ、初回の値引きは「安く獲得できた」のではなく、「戻ってこないお客様を集めた」可能性が高いと考えます。値引きで買う人と通常価格で買う人は、もともと客層が違うこともあるので、確かめるなら値引きの額を変えた期間どうしで比べます。
分けすぎない
分けるほど、ひとつのグループの人数は減ります。初回購入が30人しかいないグループのF2転換率は、数人の動きで大きく振れるので、判断には使えません。まずは初回購入商品の上位3〜5つ、流入元の上位3つくらいで比べます。
細かく分ければ成果が出るとも限りません。『LTVの罠』には、クレジットカード会社が年代・性別・地域で50種類にメールを出し分けても、開封率やクリック率、申込率は一斉配信と変わらなかったという例があります。
2回目までの日数を見て、タイミングを決める
「購入の何日後に案内を送るか」は、どの記事にも経験則が書かれています。到着の2〜3日後、使い切る頃、といったものです。ただ、どれも根拠は示されていません。
自社のデータで決める方法があります。2回目を買った人が、初回から何日後に買っているかを見ます。
注文データを書き出し、お客様ごとに初回と2回目の注文日の差を出して、日数ごとの人数を数えます。表計算ソフトでできる作業です。たとえば次のような分布になったとします。
数字は、次のとおりです。
| 初回購入からの日数 | 2回目を購入した人の割合 |
|---|---|
| 0〜14日 | 12% |
| 15〜30日 | 21% |
| 31〜45日 | 34% |
| 46〜60日 | 18% |
| 61日以降 | 15% |
(数字は説明のための例です)
この例では、31〜45日に山があります。再購入の案内は、山の少し手前、25〜30日目あたりに届くようにします。山を大きく過ぎた61日目以降も買っていない人は、自然には戻ってきにくいので、呼び戻しの対象になります。
商品によって山の位置は違うので、主力商品ごとに見るのが理想です。
F2転換率を上げる打ち手
打ち手は、初回購入からの時期で分けて考えます。
表にすると、次のとおりです。
| 時期 | お客様の状態 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 届いた直後 | 使い始め。うまく使えるか不安がある | 使い方の案内、同梱物、よくある質問への先回り |
| 使っている途中 | 効果や良さを実感するかどうかの時期 | 使い方のコツ、ほかのお客様の声、関連商品の紹介 |
| 使い切る頃 | 買い足すか、ほかを試すかを決める | 再購入の案内、まとめ買いや定期購入の提案 |
| 山を過ぎた後 | 忘れているか、他社に移っている | 呼び戻しの案内(期限つきの特典を付けるならここ) |
よくある失敗は、届いた直後から割引クーポンを送ることです。最初から値引きを見せると、通常価格で買ってくれたはずのお客様まで、値引きを待つようになります。特典は、自然には戻ってこなくなった時期まで取っておくほうが、粗利を削らずに済みます。
初回の直後は、販促を止めて案内を先に送る
直後の販促には、もうひとつ問題があります。メールそのものが開かれなくなることです。
『THE CRM』(大山公一・服部隆幸)に、ゴルフダイジェスト・オンラインの試験が載っています。同社は「登録から初回、初回から2回目」をいちばん大事な区間と位置づけ、新規登録の会員約1,000人を半分に分けました。片方にはそれまでどおり販促メールを送り、もう片方には先に担当者の名前で案内のメールを送って、販促はそのあと少しずつ出しました。2か月後の結果は次のとおりです。
| 指標 | 案内を先に送ったグループ(従来どおりのグループとの比較) |
|---|---|
| メールの開封率 | +75.1% |
| クリック率 | +34.0% |
| ゴルフ場予約とEC購入の両方をした人の割合 | +85.2% |
| 送ったメールの数 | -36% |
| 開封されたメールの数 | +13% |
送る数を減らしたのに、読まれた数は増えています。同書は、一度開かなくなったお客様はほとんど戻らない、とも書いています。
読むときの注意が3つあります。1社の、2か月の試験であること。対象は初回購入者ではなく新規の会員登録者で、測っているのもF2転換率そのものではないこと。もとの配信が1日に何通も届くほど多く、そこからの見直しだったこと。「メールは減らすほどよい」という話ではなく、直後の時期は、売り込みより先に案内を届ける、という順番の話として受け取ります。
Shopify Messagingなら、初回購入から一定の日数は販促の配信から外すセグメントを作り、その間は使い方の案内だけを送る形で組めます。
送り主は担当者の名前に、1通の目的は1つに
同じ試験で案内を先に送ったグループのメールは、担当者の名前で送られていました。同書によると、最初に用意した文面は説明書のように事務的だったため、社員1人を送り主に決めて全体を書き直したそうです。その後、その担当者あてにお客様から返信が届くようになった、とあります。名前を出した効果だけを取り出した数字ではありませんが、ストア名だけで送っているなら試す価値があります。
もうひとつは、1通に目的を詰め込まないことです。同書は、購入後のメールを3種類に分けています。
| 種類 | 中身 |
|---|---|
| 関係づくり | お礼、商品の背景。「これを買ってよかったのか」という不安を減らす |
| 商品のケア | 使い方、手入れ、保管のしかた |
| 注文の獲得 | 再購入の案内、関連商品の紹介 |
お礼のメールの末尾にクーポンを付けると、お礼なのか売り込みなのかが分からなくなります。お礼はお礼、案内は案内で分け、1通で伝えることは1つにします。
同梱物に入れるもの
同梱物は、メールの配信を承諾していないお客様にも届く、ほぼ唯一の案内です。入れるものを決めておきます。
- 商品名とストア名:『LTVの罠』は、買って使っていても、商品名や会社名を覚えていないお客様は珍しくないとしています。もう一度買おうとしたときに、検索する言葉が分かるようにします
- 再注文の行き方:商品ページやマイページに直接行けるQRコード
- 最初の使い方:1回目にどう使うかだけを、短く
- 困ったときの連絡先:問い合わせ先と、よくある質問のページ
あわせて、メールやLINEの登録の案内も入れておくと、チェックアウトで承諾しなかったお客様にも、あとから登録してもらう機会ができます。
もうひとつ、施策より前に確認することがあります。初回購入商品別に見てF2転換率が極端に低い商品があるなら、原因はメールの内容ではなく、その商品を入口にしていること自体かもしれません。その場合は、入口にする商品を変えるほうが早く効きます。
Shopifyの標準機能でできること
Shopify Messaging(管理画面の[アプリ]> Messaging >[自動化])には、購入後に使えるオートメーションのテンプレートがあります。Shopifyのヘルプでは、次のものが案内されています。
| テンプレート | 動き |
|---|---|
| 購入後にお客様に感謝を伝える | 1回目と2回目の購入後に、お礼のメールを送る |
| 初回の購入後にお客様にアップセルする | 初回購入後に、案内のメールを送る |
| お客様を呼び戻す | 最後の注文から指定した期間がたった後に、案内を送る |
待機時間は編集できるので、前の節で出した「2回目までの日数」に合わせます。また、顧客セグメントを起点にオートメーションを動かせるので、「注文数が1で、初回注文日が30日前」のような条件で送る相手を絞ることもできます。
まず標準機能で動かし、商品ごとに内容やタイミングを細かく変えたくなったら、専用ツールを検討する順番で足ります。判断の基準はKlaviyoとは?料金の見方とShopifyでの使いどころに書いています。
メールを送っていい相手か、確認する
購入後のフォローメールを組む前に、送ってよい相手かを確認します。
「一度買ってくれたお客様だから、販促メールを送ってよい」とは限りません。関係する法律が2つあります。
- 特定電子メール法:広告宣伝メールは、あらかじめ同意した人にしか送れないのが原則です。取引関係にある人への送信は例外とされています
- 特定商取引法:通信販売の電子メール広告は、お客様の請求や承諾がない限り、原則として送れません。特定電子メール法の例外に当たる場合でも、こちらの規制はかかります
特定商取引法で規制の対象外とされているのは、注文確認や発送通知など、契約の履行に関する通知に付随する広告などです。クーポンや再購入の案内を主な内容とするメールは、購入時などに配信の承諾を得たお客様に送ります。
Shopifyのマーケティングオートメーションのメールは、マーケティングを購読しているお客様にだけ送信されます。チェックアウトで承諾のチェックボックスを出しておくことが前提になります。設定の場所はカゴ落ちとは?率の測り方とShopifyでの対策手順に書いています。
ULTROは法律の専門家ではありません。実際の運用は、顧問の弁護士などに確認してください。
承諾している人が何割いるかを、先に見る
送れる相手が決まっているということは、承諾しているお客様の割合が、購入後メールの届く範囲の上限になるということです。初回購入者の3割しか承諾していなければ、文面やタイミングをどれだけ調整しても、残りの7割には届きません。
顧客セグメントで、初回購入から90日以内のお客様のうち、メールを購読している人の数を出します。
first_order_date >= -90d AND email_subscription_status = 'SUBSCRIBED'
割合が低ければ、施策より先に、承諾を取る場所を見直します。チェックアウトのチェックボックスに加えて、購入完了ページでの案内も候補です。『ひとりEC』(三浦卓也)は、著者のストアではLINEなどの登録率がいちばん高いのは購入完了ページだったとしています(1店舗の経験で、数字は示されていません)。買った直後は、発送の連絡や使い方の案内を受け取りたい理由がはっきりしているので、登録の理由を説明しやすいタイミングです。
「1:5の法則」は、根拠にしないほうがいい
F2転換率の記事には、たいてい「1:5の法則」が出てきます。新規のお客様を獲得するコストは、既存のお客様を維持するコストの5倍かかる、というものです。今回読んだ7本のうち5本が、F2転換が重要な理由としてこの法則を挙げていました。原典を示している記事はありませんでした。
調べたところ、この数字の出どころははっきりしません。あわせて語られる「5:25の法則」(お客様の離反を5%減らすと利益が25%増える)は、1990年にハーバード・ビジネス・レビューに載ったライクヘルドとサッサーの論文が元になっています。ただし、この論文が扱っているのは銀行、保険、クレジットカードなどのサービス業で、利益の伸びは業種によって25%から85%まで幅があります。この論文に「5倍」という数字は見当たりませんでした。
既存のお客様を大事にするという方向は正しいとしても、30年以上前の、ECとは違う業種の数字を、自社の判断の根拠にするのは無理があります。新規とリピートのどちらに力を入れるかは、自社の初回CPAと、F2転換率から出したLTVを並べて決めます。
F2転換率が上がったら、広告の上限も見直す
F2転換率が上がると、お客様1人あたりの粗利(LTV)が上がります。LTVが上がれば、新規獲得に使える広告費の上限も上がります。
ここまでつなげて、はじめてF2転換率は売上の話になります。リピートの数字はCRMの担当が見て、CPAは広告の担当が見て、お互いの数字を知らない、という状態はよくあります。その場合、F2転換率が上がっても広告の目標は据え置かれ、使えるはずの広告費が使われません。
2回目以降も含めて、単価・定期・休眠まで施策の順番を決めるやり方はLTVを上げる施策|ECで効く順番と、Shopifyでの回し方に書いています。LTVの出し方と、広告の上限CPAへの変換はLTVの計算方法|実務で使う式とShopifyでの出し方にまとめています。初回・2回目・定期・休眠のどこが詰まっているかを見て順番を決めるやり方は、構造のCRMに書いています。
参考にした情報
- 顧客レポート - Shopify ヘルプセンター
- Shopify に基づく顧客セグメントフィルター - Shopify ヘルプセンター
- Shopify Messaging でマーケティングオートメーションを作成および管理する - Shopify ヘルプセンター
- How is the Returning Customer Rate calculated in analytics? - Shopify Community
- 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント - 総務省
- 通信販売 - 特定商取引法ガイド(消費者庁)
- Zero Defections: Quality Comes to Services - Harvard Business Review(1990年9-10月号)
- THE CRM EC上場企業を一気にV字回復させた闘いの全記録 - 大山公一・服部隆幸
- LTV(ライフタイムバリュー)の罠 - 垣内勇威
- ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング - 木下勝寿
- ひとりEC 個人でも売上を大きく伸ばせるネットショップ運営術 - 三浦卓也
よくある質問
F2転換率とは何ですか?
初回購入したお客様のうち、2回目の購入に進んだ人の割合です。FはFrequency(購入回数)の頭文字で、初回購入をF1、2回目の購入をF2と呼びます。新規のお客様がリピーターになるかどうかの最初の分かれ目を測る指標です。
F2転換率の計算式を教えてください。
F2転換率(%)= 2回目を購入した人数 ÷ 初回購入した人数 × 100 です。計算する前に、分母にする初回購入の期間と、2回目を数える期間を決めます。たとえば「4〜6月に初回購入した人のうち、初回から90日以内に2回目を買った人の割合」という形にします。
F2転換率の平均や目安はどれくらいですか?
出典をたどれる平均値は見つかりませんでした。解説記事には15〜25%、30〜40%、20〜50%といった数字が出てきますが、どれも調査の主体やサンプルが示されていません。商材の購入サイクルと、数える期間の取り方で大きく変わる数字なので、他社の平均ではなく自社の過去の数字と比べます。
F2転換率とリピート率は何が違いますか?
分母が違います。F2転換率は、ある期間に初回購入した人を分母にして、その人たちが2回目を買ったかを追います。リピート率は定義が決まっておらず、記事やツールによって式が違います。Shopifyの管理画面に出る「リピーター率」は、期間内に注文したお客様のうち過去にも注文があった人の割合で、F2転換率とは別の数字です。
ShopifyでF2転換率は出せますか?
出せます。顧客セグメントで「初回注文日が90〜180日前の人」と、そのうち「注文数が2以上の人」の2つを作り、人数を割り算します。初回購入の月ごとの推移は、ストア分析の「顧客コホート分析」で見られます。
定期購入の商材でも、F2転換率は同じように見ればいいですか?
意味が変わります。定期購入では2回目のお届けが自動で発生するので、F2転換率は「2回目のお届け前に解約されなかった割合」になります。都度購入のように「もう一度買ってもらう」指標ではなく、「初回で解約されない」指標として読みます。打ち手も、再購入の案内ではなく、初回のお届け後の不安や使い方のつまずきを減らすことになります。
初回購入したお客様に、クーポンつきのメールを送っても問題ありませんか?
購入時などにメール配信の承諾を得ているお客様に限られます。購入者だからといって、販促メールを自由に送れるわけではありません。通信販売の電子メール広告は、特定商取引法で、お客様の承諾がない限り原則として送れないと定められています。注文確認や発送通知に付随する案内は例外です。個別の判断は専門家に確認してください。
- F2転換率=2回目を購入した人数 ÷ 初回購入した人数。初回購入者がリピーターになる最初の分かれ目を測る
- 分母(いつ初回購入した人か)と期間(何日以内の2回目か)を決めてから計算する。全期間でまとめて割ると低く出る
- 平均値は出典をたどれるものがない。自社の過去と比べる
- Shopifyでは顧客セグメント2つの人数を割って出す。月ごとの推移は顧客コホート分析で見る
- 全体の数字のまま施策を打たない。初回購入商品別・流入元別に分けて、低いところから手を付ける
- 2回目までの日数の分布を見て、案内を送るタイミングを決める
- 初回の直後は販促より案内を先に。配信を承諾した人の割合と、同梱物の中身も確認する
この記事を書いた人永田 龍史
株式会社ULTRO 代表取締役Shopify Partner。Shopifyストアの構築・保守・広告運用・CRMを一気通貫で担当。個人として運用した広告費は累計40億円超。計測設計から逆算して、利益が伸びる仕組みを作っています。Google 広告の認定資格(検索・ディスプレイ・動画・ショッピング・アプリ・P-MAX・測定)と Google アナリティクス認定資格を保有。
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