リターゲティング広告とは?仕組みとECでの設定、Cookie規制のいま

仕組み、カゴ落ちした人を追うときのリストの分け方、Google 広告とMeta広告での設定、P-MAXでの扱い、Cookie規制の現状まで。
リターゲティング広告の解説記事には、情報が古いまま残っているものが目立ちます。「Chromeでサードパーティ Cookie が段階的に廃止される」と書いたままの記事があります(この方針は2024年に撤回されています)。Google 広告のメニュー名が数年前の表記のままの記事もあります。
もうひとつ、ECの担当者にとって肝心な話が抜けています。商品フィードを使った広告のこと、P-MAXのような自動化されたキャンペーンでリターゲティングがどう扱われるのか、という点です。
この記事では、リターゲティング広告の仕組みを整理したうえで、ECでのリストの分け方、Google 広告とMeta広告での設定、Cookie規制の現状、日本の法律との関係をまとめます。対象は、自社ECを運営していて、広告を自分で触るか、代理店に任せている方です。管理画面とヘルプの表記は2026年10月時点のものです。
リターゲティング広告とは?
リターゲティング広告は、自社のサイトやアプリを訪れたことがある人に絞って、もう一度広告を出す手法です。商品ページを見て帰った人が、別のサイトやSNSでその商品の広告を目にする。あれがリターゲティング広告です。
一度興味を持った人に出すので、初めて見る人に出す広告より購入につながりやすくなります。その代わり、対象はサイトに来た人だけなので、新しい訪問者を連れてくる力はありません。
リマーケティングとの違い
同じものです。媒体によって呼び名が違います。
| 媒体 | 呼び名 |
|---|---|
| Google 広告 | 広告主様のデータ(以前の名称はリマーケティング)。リストは「データ セグメント」 |
| Meta広告 | カスタムオーディエンス |
| Yahoo!広告 | サイトリターゲティング |
Google 広告は、公式ヘルプで「リマーケティング」を「広告主様のデータ」に変更したと案内しています。ただ、「動的リマーケティング」のように以前の言い方が残っている機能もあり、現場でも「リマケ」「リタゲ」と呼ぶのが普通です。この記事では、一般的な呼び名としてリターゲティングを使います。
仕組み:タグでリストを作り、リストに配信する
流れは3段階です。
- タグを置く。サイトに広告媒体のタグ(GoogleならGoogle タグ、MetaならMeta ピクセル)を設置します
- リストがたまる。タグが訪問者の行動(どのページを見たか、カートに入れたか、購入したか)を媒体に送り、条件に合う人がリストに入ります
- リストに配信する。キャンペーンでそのリストを指定すると、リストの人が媒体の配信面を見たときに広告が出ます
ここで押さえておきたいのは、リストは作った時点からしかたまらないことです。来月からリターゲティングを始めたいなら、タグとリストの設定は今月のうちに済ませておく必要があります。
Shopifyの場合、タグは「Google & YouTube」アプリと「Facebook & Instagram」アプリを接続すれば設置されます。テーマに直接タグを貼る必要はありません。
ECでは、誰を追うかを段階で分ける
「サイトに来た人全員」をひとつのリストにすると、トップページを3秒見て帰った人と、カートに入れて迷っている人が同じ扱いになります。ECでは、購入にどれだけ近いかで分けます。
表にすると、次のとおりです。
| リスト | 条件 | 追う価値 | 出す内容 |
|---|---|---|---|
| 商品を見た人 | 商品ページを閲覧、カート追加なし | 中 | 見た商品と、その関連商品 |
| カートに入れた人 | カート追加あり、購入なし | 高 | カートに入れた商品 |
| チェックアウトを始めた人 | 決済画面まで進んだが未購入 | 最も高い | カートに入れた商品 |
| 購入した人 | 購入済み | 商材による | 買った商品の広告からは外す。リピートの多い商材では、再購入・関連商品の案内 |
下にいくほど購入に近く、人数は少なくなります。配信できる人数に届かない場合は、上の段階とまとめます。
購入した人を、未購入の人と同じリストに入れたままにはしません。 入れたままにすると、昨日買った商品の広告が今日も出続けます。広告費の無駄になるうえ、お客様の印象も良くありません。
そのうえで、購入した人をどう扱うかは、商材で変わります。
- 新規のお客様を取りたいとき、リピートの少ない商材:購入した人は除外します
- リピートの多い商材:購入した人を別のリストにして、再購入や関連商品の広告を出すのは有効です。一度買っている人なので、反応は良くなります
ただし、購入した人への広告は、目標CPAや目標ROASを新規向けより厳しく置きます。広告を出さなくても買い足したはずの人が含まれるためです。
カゴ落ちメールとは、相手が違う
カートに入れたまま離脱した人には、カゴ落ちメールという手段もあります。広告とメールは競合するものではなく、届く相手が違います。
表にすると、次のとおりです。
| カゴ落ちメール | リターゲティング広告 | |
|---|---|---|
| 届く相手 | メールアドレスが分かっていて、配信の同意がある人 | 媒体のリストに入った人(アドレス不要) |
| 費用 | ほぼかからない | 表示やクリックごとにかかる |
| 届かないケース | アドレス入力前に離脱した人、同意がない人 | Cookieがブロックされている人、媒体を使っていない人 |
メールは費用がかからないので先に使い、メールで戻ってこなかった人と、メールを送れない人を広告で追う、という分担が基本です。メール側の設定はカゴ落ちとは?率の測り方とShopifyでの対策手順にまとめています。
Google 広告での設定
リストの場所と、配信できる条件
リストは、ツール >[共有ライブラリ]>[オーディエンス マネージャー]にあります。Google タグが入っていれば、「すべての訪問者」「コンバージョンに至ったすべてのユーザー」といったリストは自動で作られます。カート追加や商品閲覧のリストは、条件を指定して自分で作ります。
公式ヘルプで確認できる条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リストに残す期間 | 既定で30日間、最長540日間(ディスプレイ・検索とも) |
| 配信に必要な人数 | 過去30日間のアクティブ ユーザーが100人以上(ディスプレイ・検索・YouTubeとも) |
検索向けのリストは以前、1,000人が必要でした。現在は100人にそろっています。古い記事を見て「うちの規模では検索のリターゲティングは使えない」と判断していたなら、条件が変わっています。
商品フィードを使う:動的リマーケティング
ECなら、見た商品そのものを広告に出す方法があります。Google 広告では動的リマーケティングと呼ばれます。必要なものは3つです。
- 商品フィード。Merchant Center に登録している商品データ
- 商品IDつきのタグ。商品閲覧やカート追加のイベントに、どの商品かを示すIDを付けて送る
- 広告の枠。フィードの画像や価格が自動で入る形式の広告
つまずきやすいのは2つ目です。タグが送る商品IDと、Merchant Center のフィードに入っているIDが一致していないと、見た商品が広告に出ません。Shopifyの公式アプリで接続している場合は基本的にそろいますが、フィードを別のアプリで作っている場合や、タグを自前で入れている場合は、IDの形式が食い違っていることがあります。動的リマーケティングを設定したのに商品が出ないときは、まずここを確認します。
フィードの整え方はGoogleマーチャントセンターの使い方|Shopify連携と不承認の直し方に書いています。
いまは、ディスプレイ広告のキャンペーンよりも、デマンド ジェネレーション キャンペーンに商品フィードをつないで配信する形が中心です。YouTubeやGmail、Discoverに、見た商品を出せます。設定はデマンドジェネレーションとは|ECで使うときの設定と見る数字にまとめています。
P-MAXでは、リストは「絞り込み」ではない
ここは取り違えやすいところです。P-MAXにも訪問者や購入者のリストを設定する場所(オーディエンス シグナル)がありますが、これは「この人たちだけに出す」という指定ではありません。
Googleの公式ヘルプは、P-MAXでは最適化されたターゲティングのみが使われ、シグナルに該当しない人にも広告が表示されると説明しています。リストは、どんな人が買いやすいかをGoogleに伝える手がかりです。
このため、P-MAXだけを回している場合、次のことが起きます。
- 訪問者に確実に広告を出す、という制御はできない
- 逆に、既存のお客様やすでに来た人ばかりに配信が寄っても、標準のレポートでは見えにくい
後者への対処として、P-MAXには「顧客の獲得」という設定があります。モードは3つです。
| モード | 動き |
|---|---|
| 新規顧客の価値 | 新規のお客様に対して、既存より高く入札する |
| 価値の高い新規顧客 | 価値の高い新規のお客様に、さらに高く入札する |
| 新規顧客のみ | 新規のお客様に対してのみ入札する |
既存のお客様かどうかは、顧客リストとサイトのタグのデータで判定されます。購入者のリストを渡していないと、Google側は誰が既存客かを十分に見分けられません。P-MAXを新規獲得に使うなら、購入者リストの連携は先に済ませておきます。P-MAXの設定全体はP-MAXとは|ECで回すときの設定と、商品フィードで見直すポイントに書いています。
Meta広告での設定
Meta広告では、リストを「カスタムオーディエンス」と呼びます。サイトの訪問者から作る場合は、Meta ピクセルが送るイベント(商品の閲覧、カートへの追加、購入など)を条件にします。
押さえておく点は次のとおりです。
- リストに残す期間は最長180日。Metaの開発者向けドキュメントに、1〜180日の範囲と書かれています
- 作った時点からしかたまらない。さかのぼっては入りません
- 商品を出すなら Advantage+ カタログ広告。以前はダイナミック広告と呼ばれていました。カタログ(商品データ)と、ピクセルのイベントに付く商品IDを使って、見た商品を表示します
- 購入者を除外する。Metaのヘルプも、閲覧やカート追加をした人を含め、購入した人を除外する形を勧めています
カタログ広告の設定と、商品IDの照合率の確かめ方はMetaのカタログ広告の記事で説明しています。
Metaでも、Googleと同じ変化が起きています。Metaの現在のヘルプでは、カスタムオーディエンスは既定で「提案」として扱われ、指定した人以外にも配信が広がると説明されています。指定した人だけに絞りたい場合は、その設定を外す必要があります。「リストを指定したから、その人にしか出ていない」とは限りません。
また、Advantage+ セールスキャンペーンにあった「既存顧客の予算上限」は、現在は使えなくなっています。既存のお客様への配信を抑えたい場合は、購入者のカスタムオーディエンスを除外に入れるか、広告セットを分けて、既存のお客様向けの広告セットに消化金額の上限を設定します。
設定画面の項目名は変更が多いので、実際の画面で確認しながら進めてください。
追う期間・予算・頻度はどう決める?
訪問から日が浅いほど、反応は良い
リターゲティングでは、サイトを訪れてからの日数が浅い人ほど、広告への反応が良くなります。昨日カートに商品を入れた人と、3週間前に入れた人とでは、買う気持ちの残り方が違うからです。運用していると、同じ「カートに入れた人」でも、直近3日のリストと、8〜30日前のリストでは、CVRにもCPAにもはっきり差が出ます。
そのため、リストは日数で分けて持ちます。
| リスト | 対象 | 傾向 |
|---|---|---|
| 直近1〜3日 | 訪問したばかりの人 | 反応がいちばん良い。人数は少ない |
| 4〜7日 | 検討中の人 | 反応は良い。人数はまだ少なめ |
| 8〜30日 | 時間がたった人 | 人数は多い。反応は落ちる |
日数の浅いリストほど入札や予算を厚くし、時間がたったリストは薄くする、というのが基本の考え方です。分けずに「30日以内の訪問者」とひとまとめにすると、反応の良い人と悪い人に同じ扱いで配信することになります。
ただし、反応が良いことと、広告で増えた売上が大きいことは別の話です。訪問したばかりの人は、広告を出さなくても戻ってきて買う割合が高い人たちです。管理画面のCVRやCPAには、そうした「広告がなくても買った人」が含まれます。『効果検証入門』では、買いそうな人を機械学習で選んでメールを配った例を使い、配った人と配らなかった人を単純に比べると、効果がランダムに配った場合の約1.5倍に見えてしまうことを示しています。直近のリストを厚くするのは出発点としては妥当ですが、どこまで厚くするかは、記事の最後の「成果は、割り引いて見る」で書いた方法で確かめてから決めます。
期間の上限は、購入までにかかる日数から決める
「何日まで追うか」に共通の正解はありません。商材によって、検討にかかる日数が違うからです。
手がかりになるのは、自社のデータです。初めてサイトに来てから購入するまでに何日かかっているかを見て、ほとんどの購入が収まる日数をリストの上限にします。日用品や食品なら数日から1〜2週間、家具や高額品なら1か月以上かかることもあります。
期間を長くすればリストは大きくなりますが、もう興味を失った人にも出し続けることになります。
日数を短くすると、人数が足りなくなる
日数の浅いリストは効果が高い一方で、対象の人数は少なくなります。ここで、媒体ごとの条件の違いが効いてきます。
カートに入れる人が1日20人のストアを例に、図にします。
Google 広告は、先に書いたとおり、過去30日間のアクティブ ユーザーが100人以上いないと、そのリストに配信できません。カートに入れる人が1日に20人のストアで「直近3日」のリストを作ると、60人ほどにしかならず、条件に届きません。届かない場合は、次のどちらかで人数を確保します。
- 日数を広げる(3日を7日や14日にする)
- 条件を広げる(「カートに入れた人」を「商品を見た人」にする)
反応の良さと人数は引き換えです。配信できる範囲で、いちばん短い日数を探します。
Meta広告は、リストが小さくても配信を始められます。直近3日のような短いリストも使えるので、日数で細かく分ける運用はMetaのほうがやりやすくなります。ただし、次に書くとおり、小さいリストには小さい予算しか使えません。
予算は、リストの人数に合わせる
リターゲティングの予算は、「いくら使いたいか」ではなく、リストの人数から決めます。対象が数百人しかいないリストに1日1万円をかけても、同じ人に何度も表示されるだけです。
同じ人に何度も出すと、効果は落ち、印象も悪くなります。「リターゲティング広告 うざい」という検索があるくらいです。
目安にする数字は2つあります。
| 見る数字 | 判断 |
|---|---|
| フリークエンシー(1人あたりの表示回数) | 予算を上げてもリーチが増えず、フリークエンシーだけが上がるなら、そのリストの上限に達している |
| CPAまたはROAS | 目標に収まっているか。フリークエンシーが上がるにつれて悪化していないか |
進め方は、小さい予算から始めて、フリークエンシーと成果を見ながら少しずつ上げていく形です。フリークエンシーが高くなりすぎていないか、成果が目標に合っているか。この2つを満たしている範囲が、そのリストに使える予算です。満たさなくなったら予算を戻すか、表示回数の上限を設定します。
リストが小さくて予算をほとんど使えない場合は、それがそのストアのリターゲティングの適正な規模です。無理に広げるより、新規のお客様を連れてくる広告に予算を回すほうが、売上は伸びます。
Cookie規制は、いまどうなっている?
「リターゲティングはCookie規制で使えなくなる」という話を、数年前から聞いてきたと思います。2026年時点の状況を整理します。
Chrome:廃止は撤回された
GoogleはChromeでサードパーティ Cookie を廃止する計画を進めていましたが、方針を変えています。
| 時期 | 発表の内容 |
|---|---|
| 2024年7月 | サードパーティ Cookie を廃止する代わりに、利用者が選べる仕組みを入れる方針に変更 |
| 2025年4月 | Cookieの扱いを選ばせる新しい画面は出さず、現行の設定を維持すると発表 |
| 2025年10月 | Cookieの代わりとして開発していた技術(Topics、Protected Audience など)の多くを終了すると発表 |
つまりChromeでは、サードパーティ Cookie はこれまでどおり使えます。「まもなく廃止される」と書いている記事は、更新されていません。
Safari:以前からブロックされている
一方で、Safariの制限は何も変わっていません。SafariはITP(Intelligent Tracking Prevention)という仕組みで、サードパーティ Cookie を既定ですべてブロックしています。サイト自身が発行するファーストパーティ Cookie も、JavaScriptで書き込んだものは最長7日、広告のクリックIDが付いた流入では24時間に制限されます。
Chromeと並べると、次のようになります。
日本はiPhoneの利用者が多いので、影響は小さくありません。Safariで来た人は、リストに入りにくく、入っても短い期間で外れやすくなります。リターゲティングのリストは、実際の訪問者より小さいと考えておく必要があります。
対策:ブラウザに頼らない経路を足す
媒体側は、Cookieに頼らずにデータを受け取る仕組みを用意しています。
- サーバーから送る。Metaのコンバージョン API のように、ブラウザを通さずにサーバーから購入などのデータを送る方法。Shopifyの公式アプリには、この設定が含まれています
- 顧客リストを使う。購入者や会員のメールアドレスをハッシュ化(元に戻せない形に変換)して媒体に渡し、リストにする方法。Googleではカスタマー マッチ、Metaでは顧客リストのカスタムオーディエンスです
Googleのカスタマー マッチには利用条件があります。ポリシーの遵守と支払いの実績が良好であることに加えて、リストを配信の対象として指定する使い方は、利用開始から90日以上、通算の利用額が5万米ドルを超えるアカウントに限られます。条件を満たさないアカウントでも、除外とモニタリングには使えます。
日本の法律では、何が必要?
「Cookieの同意バナーを出さないといけないのか」という質問をよく受けます。関係する決まりを整理します。なお、ULTROは法律の専門家ではありません。実際の対応は顧問の弁護士などに確認してください。
電気通信事業法の外部送信規律(2023年6月施行) サイトの閲覧者の情報を外部に送る場合に、送信先や目的を通知・公表するよう求める規律です。ただし対象は電気通信事業を営む事業者で、総務省のFAQは、自社の商品をウェブサイトで販売する小売業者には適用されないと答えています。実店舗がある場合も、ネット販売だけの場合も同じです。一方、複数の店舗が出店するオンラインモールの運営は対象になります。
個人情報保護法の「個人関連情報」 Cookieなどの識別子や閲覧履歴は、それだけでは個人情報に当たらなくても、個人関連情報として扱われます。提供先がそれを個人データとして取得することが想定される場合、本人の同意が得られていることを確認する義務があります。広告のタグがこれに当たるかは、媒体側でのデータの扱いによって変わるので、ここも専門家に確認する点です。
業界の自主ルール 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)は、行動ターゲティング広告のガイドラインで、情報を取得していること、利用目的、無効にする方法(オプトアウト)への案内を、サイト上に分かりやすく置くよう定めています。会員社向けの自主基準で、法律上の義務ではありません。
実務としては、同意バナーの有無にかかわらず、次の2点は入れておくのが一般的です。
- プライバシーポリシーに、広告配信のためにどの媒体のタグを使い、何を送っているかを書く
- 各媒体のオプトアウト(広告のパーソナライズを無効にする設定)ページへのリンクを置く
EUや英国のお客様に販売している場合は、話が変わります。同意を得てからでないとリターゲティングに使えません。Shopifyは、EEAと英国向けのマーケットがある場合にCookieバナーを自動で設定します。それ以外の地域では、既定でバナーは無効です。
Shopifyで確認しておくこと
Shopifyのストアでリターゲティングを始める前に、3か所を確認します。
1. 公式アプリの接続 「Google & YouTube」アプリは、Google 広告のコンバージョン測定を設定し、商品を Merchant Center に同期します。「Facebook & Instagram」アプリは、Meta ピクセルとカタログを接続します。
2. Metaへのデータ共有の設定 「Facebook & Instagram」アプリには、データ共有のレベルが3段階あります。いちばん下はピクセル(ブラウザ経由)だけ、上の2つはコンバージョン API(サーバー経由)も使います。Safariの制限を考えると、サーバー経由も使う設定にしておくほうが、リストの取りこぼしが減ります。
3. お客様のプライバシー設定 [設定]>[お客様のプライバシー]で、Cookieバナーとデータの扱いを確認します。海外向けのマーケットを追加したときに、バナーの設定が変わっていないかも見ておきます。
なお、Shopifyが提供する Shopify Audiences(購入しそうな人のリストを広告媒体に渡す機能)は、米国またはカナダに拠点があり、Shopify PlusとShopify ペイメントを使っているストアが対象で、日本のストアでは使えません。
リターゲティングの成果は、割り引いて見る
最後に、数字の読み方です。リターゲティング広告は、管理画面ではたいてい成績が良く見えます。CPAは安く、ROASは高く出ます。
理由は単純で、もともと買う可能性が高い人に出しているからです。カートに入れて迷っていた人の一部は、広告がなくても翌日に戻ってきて買ったはずです。その購入も、広告をクリックしていれば広告の成果として計上されます。広告を見ただけで購入した人を成果に数える設定(ビュースルー)になっていれば、さらに多く計上されます。
リターゲティングの成績が良いからと予算を寄せていくと、管理画面の数字は良いのに、ショップ全体の売上は増えていない、ということが起きます。新規の訪問者が増えなければ、追う相手のリストも大きくならないからです。
確かめる方法はいくつかあります。
- リターゲティングを止めた期間、または予算を大きく変えた期間に、ショップ全体の売上がどう動いたかを見る
- 媒体が用意しているリフト調査(広告を出すグループと出さないグループを分けて比べる機能)を使う
- 広告費に占めるリターゲティングの割合を決めておき、新規向けの配信を削らない
管理画面のROASの読み方はROASとは?計算式とCPA・ROIとの違い、目標の決め方に、新規と既存を分けて広告を評価する考え方は純増の広告運用に書いています。
参考にした公式情報
- データ セグメントについて - Google 広告 ヘルプ
- データ セグメントの仕組み - Google 広告 ヘルプ
- 動的リマーケティングについて - Google 広告 ヘルプ
- 顧客ライフサイクル目標について - Google 広告 ヘルプ
- カスタマー マッチのポリシー - Google 広告 ヘルプ
- A new path for Privacy Sandbox on the web(2024年7月) - Privacy Sandbox
- Next steps for Privacy Sandbox and tracking protections in Chrome(2025年4月) - Privacy Sandbox
- Update on Plans for Privacy Sandbox Technologies(2025年10月) - Privacy Sandbox
- Tracking Prevention in WebKit - WebKit
- 外部送信規律FAQ - 総務省
- 「個人関連情報」とは何か(FAQ) - 個人情報保護委員会
- 行動ターゲティング広告ガイドライン - 日本インタラクティブ広告協会
- お客様プライバシー設定の構成 - Shopify ヘルプセンター
- Shopify Audiences - Shopify ヘルプセンター
よくある質問
リターゲティング広告とは何ですか?
自社のサイトやアプリを訪れたことがある人に絞って、もう一度広告を出す手法です。サイトに設置したタグで訪問者のリストを作り、そのリストに対して広告を配信します。一度興味を持った人に出すので、初めて見る人向けの広告より購入につながりやすいのが特徴です。
リターゲティングとリマーケティングは違うものですか?
同じものです。媒体によって呼び名が違うだけで、Googleはリマーケティング、Yahoo!広告やCriteoなどはリターゲティングと呼んできました。Meta広告では、リストを「カスタムオーディエンス」と呼びます。なお、Google 広告は現在「リマーケティング」を「広告主様のデータ」という名称に変えています。
サードパーティ Cookie は廃止されたのではないのですか?
Chromeでは廃止されていません。Googleは2024年7月に廃止の方針を撤回し、2025年4月にはCookieの扱いを選ばせる新しい画面も出さないと発表しました。一方、Safariは以前からサードパーティ Cookie を既定でブロックしています。iPhoneの利用者が多い日本では、リターゲティングのリストが実際の訪問者より小さくなる状況が続いています。
リストには何人たまれば配信できますか?
Google 広告では、ディスプレイ・検索・YouTubeのいずれも、過去30日間のアクティブ ユーザーが100人以上必要です。以前は検索向けに1,000人が必要でしたが、現在は100人にそろっています。リストに残す期間は既定で30日、最長540日です。
カゴ落ちした人には、メールと広告のどちらが効きますか?
相手が違うので、両方使います。カゴ落ちメールを送れるのは、メールアドレスが分かっていて配信の同意がある人だけです。アドレスを入力する前に離脱した人には、広告でしか届きません。メールで戻ってこなかった人と、メールを送れない人を広告で追う、という分担になります。
P-MAXを使っていれば、リターゲティングは別に設定しなくていいですか?
P-MAXは訪問者や購入者のリストを手がかりに使いますが、リストの人だけに絞って配信する設定はできません。訪問者に確実に出したい、あるいは既存のお客様には出したくない、という場合は、デマンド ジェネレーションなど別のキャンペーンでリストを指定するか、「新規顧客のみ」の設定を使います。
自社ECでリターゲティング広告を出すとき、Cookieの同意バナーは必要ですか?
総務省のFAQは、自社の商品をウェブサイトで販売する小売業者には、電気通信事業法の外部送信規律は適用されないと答えています。モールの運営など、ほかの事業も行っている場合は別です。適用されない場合でも、プライバシーポリシーで広告のためにデータを使っていることを説明し、無効にする方法を案内しておくのが一般的です。EUや英国に販売している場合は、同意の取得が求められます。個別の判断は専門家に確認してください。
- リターゲティング広告は、サイトを訪れた人のリストに広告を出す手法。リマーケティングと同じもの
- ECではリストを「商品を見た」「カートに入れた」「購入した」で分け、購入した人は買った商品の広告から外す。リピートの多い商材では、再購入の案内に別のリストで使う
- Google 広告のリストは過去30日のアクティブ ユーザー100人以上で配信でき、保持は既定30日・最長540日
- 訪問から日が浅い人ほど反応は良い。リストは日数で分け、予算はリストの人数とフリークエンシーを見て決める
- P-MAXではリストは絞り込みではなく手がかり。訪問者に確実に出すなら別のキャンペーンで指定する
- Chromeのサードパーティ Cookie 廃止は撤回された。Safariのブロックは続いており、リストは実際より小さい
- 管理画面の成果は割り引いて見る。広告がなくても買った人が含まれる
この記事を書いた人永田 龍史
株式会社ULTRO 代表取締役Shopify Partner。Shopifyストアの構築・保守・広告運用・CRMを一気通貫で担当。個人として運用した広告費は累計40億円超。計測設計から逆算して、利益が伸びる仕組みを作っています。Google 広告の認定資格(検索・ディスプレイ・動画・ショッピング・アプリ・P-MAX・測定)と Google アナリティクス認定資格を保有。
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