サードパーティCookie(クッキー)とは?廃止はどうなったか、ECの計測への影響

Chromeの廃止計画は2025年にどう決着したのか。Safariではいま何が制限されているのか。ECの計測が欠ける本当の原因と、先に直すべきことまで。
「サードパーティCookieが廃止されるので、計測が大変なことになる」。数年前から何度も聞いてきた話ですが、2025年に状況が大きく変わりました。GoogleはChromeでの廃止を取りやめ、代わりに用意していた技術の多くも終了すると発表しています。
それでも、ECの計測データは欠けています。原因は、購入完了ページが開かれない注文や広告ブロッカー、SafariのCookieの期限など、Cookieの廃止とは別のところにあります。
この記事では、サードパーティCookieとは何か、廃止の計画がどう決着したか、ブラウザごとの現状、GA4と広告への影響を整理したうえで、ECの計測を実際に欠けさせているものを説明します。対象は、自社ECを運営していて、GA4や広告の数字を見て判断している方です。情報は2026年10月時点のGoogle・Apple・Mozilla・Microsoftの公式情報に沿っています。
サードパーティCookie(クッキー)とは?ファーストパーティCookieとの違い
サードパーティCookieは、いま見ているサイトとは別のドメインが発行するCookieです。見ているサイト自身のドメインが発行するものは、ファーストパーティCookieと呼びます。
Cookieは、サイトがブラウザに保存させる小さな文字列です。ログインの状態やカートの中身、訪問者を見分けるIDなどを入れます。ファーストパーティかサードパーティかは、Cookieの中身ではなく、どのドメイン(example.com のような、サイトの住所にあたる部分)が発行したかで決まります。
表にすると、次のとおりです。
| ファーストパーティCookie | サードパーティCookie | |
|---|---|---|
| 発行するドメイン | 見ているサイトと同じ(example.com を見ていて example.com が発行) | 見ているサイトと別(example.com を見ていて ads.example.net が発行) |
| 主な発行元 | サイト自身、サイトに置いたGA4などのタグ | 広告配信のサーバー、埋め込みの動画・SNSのボタン、別ドメインの計測タグ |
| 読めるサイト | そのサイトだけ | 同じタグが置かれた複数のサイト |
| 主な用途 | ログイン、カート、GA4のユーザーの識別 | サイトをまたいだ追跡、リターゲティング(一度サイトに来た人に広告を出すこと)、ビュースルー(広告を見たがクリックしなかった人のその後の購入)の計測 |
| ブラウザの制限 | 期限の短縮(Safari)など | Safari・Firefoxは既定でブロックまたは分離。Chromeは今のところ有効 |
GA4のタグは、Googleのスクリプトを読み込みますが、Cookieは見ているサイトのドメインに書きます。そのためGA4の _ga はファーストパーティCookieです。広告のタグも同じで、Googleのヘルプでは、コンバージョン リンカーが広告のクリック情報を _gcl_aw などの名前で、見ているサイトのドメインのファーストパーティCookieに保存すると説明しています。Metaのドキュメントも、ピクセルはファーストパーティCookieを使い、サイトのドメインに _fbp を保存し、クリックIDは _fbc に保存すると説明しています。
サイトをまたいで同じ人を見分けられることが、サードパーティCookieが規制の対象になってきた理由です。ある人がどのサイトで何を見たかを、広告の事業者がつなげられるためです。
似た言葉との違い
- サードパーティデータ:他社から買う、または提供されるデータのことで、Cookieとは別の話です。自社が直接集めたデータとの違いはファーストパーティデータの記事で説明しています
- CHIPS(Partitioned属性):サードパーティCookieを、表示しているサイトごとに分けて保存させる仕組みです。埋め込みのチャットや決済など、サイトをまたいだ追跡が目的ではない用途のためのものです。Googleは、他のブラウザも対応しているとして、Privacy Sandboxの終了後も続けるとしています
- クッキーレス:Cookieに頼らない計測や広告の総称です。決まった技術の名前ではありません
サードパーティCookieの廃止はどうなった?
ChromeのサードパーティCookieは、廃止されないことになりました。Googleは2020年に廃止を表明し、延期を重ねたあと、2024年7月に方針を見直し、2025年4月に今の仕組みを続けると発表しました。
表にすると、次のとおりです。
| 時期 | Googleの発表 |
|---|---|
| 2020年1月14日 | Chromeで2年以内にサードパーティCookieのサポートをやめる意向を表明 |
| 2021年6月24日 | 延期。2023年半ばから3か月かけて廃止し、2023年後半に終える計画に |
| 2023年12月14日 | 2024年1月4日から、世界のChromeユーザーの1%でサードパーティCookieを既定で制限するテストを始め、2024年後半に全員で廃止する計画と発表(英国の競争・市場庁の懸念の解消が条件) |
| 2024年4月23日 | 2024年中には終えられないと発表。英国の競争・市場庁との合意を前提に、翌年の早い時期に始める見込みとした |
| 2024年7月22日 | 廃止の代わりに、ユーザーが情報を得たうえで選べる新しい仕組みを提案 |
| 2025年4月22日 | 今の選択の仕組み(Chromeの設定で管理)を続け、新しい単独の選択画面も出さないと発表 |
| 2025年10月17日 | Privacy Sandboxの技術の多くを、採用が少なかったとして終了すると発表。同じ日に、英国の競争・市場庁がGoogleの約束(コミットメント)を解除 |
2022年7月にも、廃止の時期を2024年後半に延ばす発表がありました。
英国の競争・市場庁は、Googleが自社に有利な形でサードパーティCookieをなくすことを競争上の問題として見ていました。解除の背景として、GoogleがサードパーティCookieを廃止しないと決めたことを挙げています。
Privacy Sandboxで残ったもの、消えたもの
Privacy Sandboxは、サードパーティCookieの代わりとしてGoogleが開発してきた技術群です。2025年10月の発表で、広告向けを中心とした技術の多くは終了し、Cookieの扱いを安全にする技術は残ることになりました。
| 区分 | 対象 | 2026年10月時点の状況 |
|---|---|---|
| ChromeのサードパーティCookie | — | 存続。ユーザーが設定で選ぶ方式のまま。シークレットモードでは既定でブロック |
| 終了する(広告向けなど) | Topics、Protected Audience、Attribution Reporting、Private Aggregation、Shared Storage、Related Website Sets、IP Protection など | 公式の状況ページ(2026年8月14日更新)で、Topicsなどは「廃止して削除する」、IP Protectionなどは「提供を取りやめる」。削除の日付やChromeのバージョンは示されていない |
| 続ける | CHIPS、FedCM、Private State Tokens、Storage Access API、ストレージの区画化 | 他のブラウザも採用している、または今後も支える技術として継続 |
計測の面で影響が大きいのは、Attribution Reporting(Cookieを使わずに広告の成果を測るAPI)の終了です。Googleは、ブラウザをまたいで使える成果の計測の標準づくりを、W3C(Webの標準を決める団体)の作業部会で続けるとしています。
「クッキーレス」に向けた準備は無駄だったのか
廃止の取りやめで、準備がすべて不要になったわけではありません。SafariではすでにサードパーティCookieが使えず、ファーストパーティCookieにも期限の上限があります。当社が見ている日本のECでは、スマートフォンからの訪問のうちiPhoneの割合が高く、Cookieに頼った計測が欠ける状況は、廃止の話の前から続いています。
『クッキー規制を乗り越える! 新しいデジタルマーケティングの本』は、クリーンルーム、共通ID、コンテキスト広告、Privacy Sandboxなどの代替技術は、分析・識別・配信のどこを解くかがそれぞれ違い、まとめてCookieの完全な代わりとは扱えないと整理しています。そのうえで、追跡を続けられればよいという考え方そのものを見直すことを勧めています。なお、この本は2024年1月の刊行で、Chromeの廃止とPrivacy Sandboxの普及を前提にした記述があり、その部分は現状と合いません。Privacy Sandboxの広告向け技術も、2025年10月に終了が決まっています。
当社は、2025年の決着で変わったのは「Chromeの広告の仕組みが急に変わる心配」が消えたことで、ECの計測で手を付けるべきことの順番は変わっていない、と見ています。
ブラウザ別のサードパーティCookieの扱い(2026年10月時点)
2026年10月時点で、サードパーティCookieを既定で広く使えるのは、主要なブラウザではChromeと、追跡用と判定したドメインだけを遮断するEdgeです。SafariとFirefoxは何年も前から既定で制限しています。
| ブラウザ | サードパーティCookie(既定) | ファーストパーティCookieへの制限 | 始まった時期 |
|---|---|---|---|
| Chrome | 有効。ユーザーは設定でブロックできる。シークレットモードではブロック | 期限は最長400日 | — |
| Safari(ITP) | 全面的にブロック | JavaScriptで書いたCookieは最長7日。条件により24時間 | 全面ブロックは2020年3月 |
| Firefox | Total Cookie Protectionで、サイトごとに分けて保存(サイトをまたいで読めない)。既知の追跡用Cookieはブロック | — | 追跡防止の既定化は2019年9月、Total Cookie Protectionの既定化は2022年6月 |
| Edge | 追跡用と分類されたドメイン以外は有効。追跡防止の既定は「バランス」で、広告・SNSなどの既知の追跡ドメインのCookieやストレージを遮断する。アクセス解析のカテゴリは遮断しない | — | — |
Chromeの400日は、GoogleのGA4のヘルプにある、再訪しない場合のCookieの期限の上限です。
SafariのITPで決まっていること
SafariのITP(Intelligent Tracking Prevention)は、サードパーティCookieを全面的にブロックし、JavaScriptで書いたファーストパーティCookieの期限を最長7日(条件により24時間)に縮めます。ECの計測で影響が大きいのは、期限の短縮のほうです。WebKit(Safariのエンジン)の公式ブログで公表されている内容は次のとおりです。
| 内容 | 公表された時期 |
|---|---|
| JavaScript(document.cookie)で書いた期限付きのCookieは、期限が最長7日になる | 2019年2月(ITP 2.1) |
| 追跡ができると判定されたドメインから移動してきて、着地したURLにパラメータ(?以降)か#以降が付いている場合、そのページでJavaScriptで書いたCookieは1日(24時間)になる | 2019年4月(ITP 2.2) |
| サードパーティCookieを既定で全面的にブロック。Safariを使った日で数えて7日間、そのサイトで操作がなければ、スクリプトで書けるストレージ(localStorageなど)を消す | 2020年3月 |
| CNAME(サブドメインを別の会社のサーバーに向ける設定)を使った第三者のサーバーが応答で発行したCookieも、期限が7日になる | 2020年11月 |
このほか、サイトと違うIPアドレスの第三者のサーバーが発行したCookieにも7日の上限をかける変更が、2022年10月にWebKitに入っています(WebKitのバグ管理の記録で確認。公式ブログでの説明はありません)。サーバーからCookieを発行して期限を延ばす方法と、効く条件はサーバーサイドGTMの記事で説明しています。
24時間になる条件で「追跡ができると判定されたドメイン」がどこかは、WebKitは名前を挙げていません。当社は、大手の広告媒体からクリックID(広告をクリックしたときにURLに付く gclid や fbclid などの文字列)の付いたURLで着地する場合が典型と見ています。UTMパラメータだけを付けたリンクがこの条件に当たるかは、遷移元のドメインしだいです。UTMの付け方はUTMパラメータの記事で説明しています。
Safariについて、公式には確認できないこと
Safariの追跡防止は、記事によって説明がまちまちです。公式に確認できる範囲は次のとおりです。
- iOS 17のリンクの追跡防止:Appleは2023年6月に、メッセージとメールで共有したリンク、Safariのプライベートブラウズで開いたリンクから、追跡用の情報を取り除くと発表しました。どのパラメータを取り除くかの一覧は、Appleは公表していません
- iOS 26の指紋採取対策:Appleは2025年6月に、高度なフィンガープリント防止を、すべてのブラウズで既定にすると発表しました。具体的にどのスクリプトに何を制限するかは、公式の発表には書かれていません
- 次のSafariの変更:開発中のバージョンについて、ソースコードを読んだ第三者の分析が出ていますが、Appleの公式発表はありません
GA4への影響は?_gaはファーストパーティCookie
GA4はファーストパーティCookieで動いているので、サードパーティCookieの廃止の話の直接の影響は小さいです。Googleのヘルプ「ウェブサイトでの Cookie の使用」は、GA4のJavaScriptタグはファーストパーティCookieを使って、ユニークユーザーと、1人のユーザーによるユニークセッションを区別すると説明しています。
| Cookie | 既定の期限 | 用途 |
|---|---|---|
_ga | 2年間 | ユーザーを区別する |
_ga_<コンテナID> | 2年間 | セッションの状態を保つ |
ただし同じヘルプに、ブラウザがファーストパーティCookieの期限を制限すること、再訪しない場合の上限がChromeは400日、Safariは7日であることも書かれています。
Safariで7日を過ぎて戻ってきた人は、_ga が消えているので、GA4では新しいユーザーとして数えられます。当社の見方では、次のようなずれが出ます。
- 新規ユーザーが多めに出る:検討に日数がかかる商材ほど、同じ人が「新しいユーザー」として何度も数えられます
- 初回の流入元が分からなくなる:7日より前に広告で来た人が、8日目に検索から戻って購入すると、GA4の「最初のユーザーの〜」の項目は検索になります
- リピートの指標がずれる:Safariの利用者の再訪率や、ユーザーあたりの購入回数が低く出ます
ユーザーとセッションの数え方はGA4のセッションとユーザー数の記事を、どの流入に成果を付けるかのルールはアトリビューションの記事を見てください。GA4で最初に確かめておく設定はGA4の使い方の記事にあります。
広告(Google広告・Meta広告)への影響と打ち手
広告の計測は、Chromeではこれまでどおり動きますが、Safariでは以前から欠けています。対策は、Cookieが消えても成果を結びつけられる経路を足すことです。
前の節で触れたとおり、Google広告の _gcl_aw もMetaの _fbp も、見ているサイトのドメインに書くファーストパーティCookieです。そのため、ChromeがサードパーティCookieを残しても、SafariのITPの7日・24時間の期限はそのまま効きます。
| 影響を受けるもの | 何が起きるか | 打ち手 |
|---|---|---|
| クリックからの購入の計測 | Safariでは、クリックIDを入れたCookieが7日、条件により24時間で消え、それより後の購入が広告の成果として数えられない | Google広告:拡張コンバージョン。Meta広告:コンバージョンAPI |
| ビュースルーの計測、サイトをまたいだ計測 | サードパーティCookieを使うものは、Safari・Firefoxで取れない | 媒体の推計に任せる部分が増える。数字の扱いを決めておく |
| リターゲティングのリスト | Safari・Firefoxの訪問者がリストに入りにくい | 顧客リストを使う。詳しくは下のリンク先 |
| 同意しなかった人 | 同意バナーを出している場合、その人のデータは送られない | 同意モード。詳しくは下のリンク先 |
Google広告の拡張コンバージョンは、購入時のメールアドレスや電話番号を正規化し、SHA256でハッシュ化(元に戻せない形に変換)して送り、広告に接したときにログインしていたGoogleアカウントと照合する機能です。Cookieが消えていても、照合できれば成果として数えられます。設定は拡張コンバージョンの記事で手順まで説明しています。
Meta広告のコンバージョンAPIは、成果をサーバーからMetaに送る仕組みです。Metaは、ピクセルと併用する「冗長な設定」を勧めていて、その場合はピクセルの eventID とコンバージョンAPIの event_id、イベント名を一致させて重複を除きます。重複が除かれるのは、最初のイベントが届いてから48時間以内に届いたものだけです。仕組みはコンバージョンAPIの記事、Shopifyでの入れ方はShopifyでMetaのCAPIを使う3つの方法を見てください。ピクセルで作るオーディエンスの考え方はMetaピクセルとオーディエンスの記事で説明しています。
同意モードは、同意の状態をGoogleのタグに伝える仕組みで、欧州経済領域・英国・スイスの利用者には事実上必要です。日本だけに販売しているストアで既定を「拒否」にすると、かえって計測が欠けます。日本だけに販売していて同意バナーを出していないなら、同意モードより先に、次の節以降のことを進めて構いません。基本と高度の違い、Shopifyでの設定はCookie同意バナーの記事で説明しています。
Googleは2025年5月2日に、タグの読み込みを自社ドメイン経由にする「Googleタグ ゲートウェイ」を翌週から順次提供すると発表し、設定した広告主ではシグナルが11%増えたとしています。ただしこれはGoogleの社内データで、2025年4月9日〜16日の7日移動中央値です。比べたのはタグのスクリプトが読み込まれた回数で、コンバージョンの数ではありません。
リターゲティングのリストが小さくなる件と、顧客リストを使った代わりの方法は、リターゲティング広告の記事にあります。
日本のCookie規制では、何が求められている?
日本でECの計測に関係するのは、電気通信事業法の外部送信規律と、個人情報保護法の個人関連情報の2つです。どちらも、自社のサイトでCookieを使うこと自体に同意を義務付けてはいません。
| 法律 | 施行 | 内容 | 自社商品のECへの当てはめ |
|---|---|---|---|
| 電気通信事業法の外部送信規律 | 2023年6月16日 | 利用者の情報を外部に送らせるときに、通知・公表、同意、オプトアウトのいずれかを行う | 総務省は、自社商品などのオンライン販売は対象外と説明。ニュースサイトやまとめサイトなど、各種情報をオンラインで提供するページは対象になる |
| 個人情報保護法の個人関連情報 | 2022年4月1日 | Cookieなどの識別子は、個人情報に当たらない場合、通常「個人関連情報」。提供先が個人データとして取得することが想定される第三者提供では、本人の同意が取れていることの確認が必要 | 提供先(広告媒体など)が、受け取ったCookie IDなどを自社の会員情報と結びつけることが想定される場合に関係する |
個人情報保護法は2026年7月に改正法が公布され、Cookie IDなどを含む個人関連情報の不適正な利用と不正な取得を禁じる規律が入りました。施行は原則として公布から2年以内で、Cookieの利用に同意を義務付ける内容ではありません。条文の読み方とShopifyでのバナーの設定は、Cookie同意バナーの記事で説明しています。当社は法律の専門家ではないので、個別の判断は顧問の弁護士などに確認してください。
ECの計測漏れの本当の原因は?購入完了ページ・広告ブロッカー・Safari・同意
ECの計測を実際に欠けさせているのは、購入完了ページが開かれない注文、広告ブロッカー、SafariのCookieの期限、同意の拒否の4つです。出典で言えることと、言えないこと(当社の推測)を分けて整理します。
出典で言えることと言えないことを表にすると、次のとおりです。
| 要因 | 出典で言えること | 言えないこと・当社の推測 |
|---|---|---|
| 購入完了ページが開かれない | Shopifyのドキュメントでは、購入完了のイベント(checkout_completed)はふつう購入完了ページで、アップセルがあれば最初のアップセルのページで1回だけ発生し、そのページが読み込まれなければ発生しない | 何%の注文で起きるかの業界の統計は見つからなかった。ULTROの支援先のストアで注文番号を照合したところ、GA4に入っていない注文が約2割あった(決済方法などの内訳は店舗によって違う) |
| 広告ブロッカー | GWIのデータを引いたBacklinkoの記事(二次情報)では、世界のインターネット利用者の29.5%(2025年第2四半期)が広告ブロッカーを使うことがあり、日本は利用率が2割未満の国の1つとされる(日本の値の時期は記載なし)。Edgeの既定の追跡防止も、広告系の既知のドメインのCookieを遮断する | 一次資料では確かめられていない。利用率はそのまま計測漏れの率ではない。GA4のタグがどれだけ止められているかの公的な数字はない |
| SafariのCookieの期限 | JavaScriptで書いたCookieは最長7日、パラメータ付きの流入では24時間(WebKit)。GA4のCookieもSafariでは7日が上限(Google) | 欠ける量は、Safariの利用者の割合と、検討にかかる日数しだい。当社の見ているストアではiPhoneからの訪問の割合が高く、影響は小さくないと見ている |
| 同意の拒否 | 同意しなかった人のデータは送られない。高度な同意モードでは、Cookieを使わない信号を送り、条件を満たせば推計で補う(Google) | 日本の拒否率の信頼できる統計は見つからなかった。日本向けで同意バナーを出していないストアなら、この要因は小さい |
いちばん上の、購入完了ページが開かれない注文は、Cookieとは関係なく、タグが動く機会そのものが無い問題です。外部の決済サービスから戻らずに閉じた、完了ページを読み込む前に通信が切れた、AIアシスタントやSNSアプリの中で購入が完結した、といった注文では、ブラウザのタグが一度も動きません。Cookieの期限を延ばしても、拡張コンバージョンを入れても、そもそも送られていないものは補えません。
GA4でこの分を埋めるには、注文のデータを起点に、ブラウザを通さずサーバーから送る必要があります。GA4では、そのためのGoogleの仕組みであるMeasurement Protocolを使います。仕組みと送る期限はMeasurement Protocolとはで説明しています。当社は、これをShopifyアプリ「GapFill」にしました。自社の製品なので、その前提で読んでください。既存のタグ設定はそのままで、GA4で漏れた購入データを、サーバーサイドで補完します。どこでどれくらい漏れているかを確かめる計測漏れレポートは無料です。
ULTROのShopifyアプリGapFill|GA4で漏れた購入データを、サーバーサイドで補完既存のタグ設定はそのまま。計測漏れレポートは無料です。GapFillを見る →漏れの原因の一覧と、注文番号で1件ずつ突き合わせる手順は、ShopifyでGA4の購入が計測漏れする原因と埋め方の「自分のストアで計測漏れを確かめる手順」の節にあります。
サードパーティCookieの話を受けて、ECは何から始めるか
手を付ける順番は次の5つです。最初の2つで自分のストアで何が欠けているかを確かめて直し、3と4で欠けている経路を足し、5で数字の比べ方をそろえます。
- 注文とGA4を突き合わせる:Shopifyの注文番号とGA4のトランザクションID(GA4に送られる注文番号)を1件ずつ照合し、GA4に無い注文が決済方法や販売チャネルに偏っていないかを見ます
- タグの設定を確かめる:購入のイベントが1回だけ送られているか、二重になっていないかを確かめます。Shopifyでの入れ方はShopifyとGA4の連携方法に、二重のときの直し方はGA4の購入が二重に入るときに、タグが動いているかの確かめ方はGoogleタグアシスタントの記事にあります。Shopifyのカスタムピクセルで入れている場合の注意はカスタムピクセルの記事を見てください
- 広告にCookieに頼らない経路を足す:Google広告は拡張コンバージョン、Meta広告はコンバージョンAPIを、イベントIDでの重複排除まで含めて設定します
- タグが動かない注文を補う:1で、決済や販売チャネルに偏った漏れが残っていれば、注文からMeasurement Protocolで送る方法を検討します。手作業での照合が手間なら、GapFillの無料の計測漏れレポートでも確かめられます
- 条件を変えた日を記録する:同意バナーを入れた日、計測の方法を変えた日を残し、その前後の数字をそのまま比べないようにします
5について、『クッキー規制を乗り越える! 新しいデジタルマーケティングの本』は、施策ごとに、事業の実績、管理画面の数字、計測の条件、計測できていない範囲を分けて記録し、計測の条件が変わった期間を単純に比べないことを勧めています。拡張コンバージョンやサーバーからの送信を入れると、広告やGA4の数字は増えますが、それは売上が増えたのではなく、見える範囲が広がった分です。
「(not set)」や「direct」が多いのも、Cookieが消えたり参照元が引き継がれなかったりしたときに起きやすい症状です。原因の見分け方はGA4の(not set)・directが多い原因で説明しています。
参考にした情報
- Building a more private web: A path towards making third party cookies obsolete(Chromium Blog, 2020年1月14日)
- An updated timeline for Privacy Sandbox milestones(Google, 2021年6月24日)
- Expanding testing for the Privacy Sandbox for the Web(Google, 2022年7月)
- The next step toward phasing out third-party cookies in Chrome(Google, 2023年12月14日)
- Update on the plan for phase-out of third-party cookies on Chrome(Privacy Sandbox, 2024年4月23日)
- A new path for Privacy Sandbox on the web(Privacy Sandbox, 2024年7月22日)
- Next steps for Privacy Sandbox and tracking protections in Chrome(Privacy Sandbox, 2025年4月22日)
- Update on Plans for Privacy Sandbox Technologies(Privacy Sandbox, 2025年10月17日)
- Privacy Sandbox feature status(Privacy Sandbox, 2026年8月14日更新)
- Investigation into Google’s ‘Privacy Sandbox’ browser changes(英国 競争・市場庁)
- Intelligent Tracking Prevention 2.1(WebKit, 2019年2月21日)
- Intelligent Tracking Prevention 2.2(WebKit, 2019年4月24日)
- Full Third-Party Cookie Blocking and More(WebKit, 2020年3月24日)
- CNAME Cloaking and Bounce Tracking Defense(WebKit, 2020年11月12日)
- Bug 246477: Cap cookie lifetimes to 7 days for responses from third party IP addresses(WebKit Bugzilla, 2022年10月21日 FIXED)
- WebKit Features in Safari 17.0(WebKit, 2023年9月18日)
- Apple announces powerful new privacy and security features(Apple Newsroom, 2023年6月5日)
- Apple elevates the iPhone experience with iOS 26(Apple Newsroom, 2025年6月9日)
- Firefox 69.0 release notes(Mozilla, 2019年9月3日)
- Firefox rolls out Total Cookie Protection by default to more users worldwide(Mozilla, 2022年6月14日)
- Tracking prevention in Microsoft Edge(Microsoft Learn)
- [GA4] ウェブサイトでの Cookie の使用(アナリティクス ヘルプ)
- コンバージョン リンカー(タグ マネージャー ヘルプ)
- 拡張コンバージョンについて(Google 広告 ヘルプ)
- 同意モードについて(Google 広告 ヘルプ)
- Enhance your conversion measurement and ad performance with Google tag gateway for advertisers(Google, 2025年5月2日)
- Conversions API(Meta for Developers)
- ClickID and the fbp and fbc Parameters(Meta for Developers)
- Handling Duplicate Pixel and Conversions API Events(Meta for Developers)
- checkout_completed(Shopify.dev)
- 外部送信規律(総務省)
- 個人情報保護法に関するQ&A Q8-1(個人情報保護委員会)
- 令和8年 改正個人情報保護法について(個人情報保護委員会)
- Ad Blocker Usage and Demographic Statistics(Backlinko, 2026年3月19日更新。GWIのデータを引用)
- クッキー規制を乗り越える! 新しいデジタルマーケティングの本(広瀬安彦)
よくある質問
サードパーティCookieとは何ですか?
いま見ているサイトとは別のドメインが発行するCookieです。広告や計測のタグ、埋め込みの動画やSNSのボタンなどが発行します。同じドメインのCookieが複数のサイトで読まれるので、サイトをまたいで同じ人を見分けることに使われてきました。見ているサイト自身が発行するものはファーストパーティCookieと呼びます。
サードパーティCookieは廃止されたのですか?
Chromeでは廃止されていません。Googleは2024年7月に廃止の方針を見直し、2025年4月に今の仕組みを続け、新しい選択画面も出さないと発表しました。ただしSafariは2020年から、Firefoxは2019年から既定で制限していて、Chromeでもシークレットモードではブロックされます。
プライバシーサンドボックスはどうなりましたか?
2025年10月17日に、Googleは採用が少なかったとして、Topics、Protected Audience、Attribution Reportingなど広告向けの技術の多くを終了すると発表しました。CHIPS、FedCM、Private State Tokensは続けます。2026年8月時点の公式の状況ページでも、終了する技術の削除の日付は示されていません。
GA4はサードパーティCookieの廃止で使えなくなりますか?
なりません。Googleのヘルプでは、GA4のタグはファーストパーティCookieでユーザーとセッションを見分けると説明しています。影響が出るのはSafariで、再訪しない場合のCookieの期限は最長7日です。7日を過ぎて戻ってきた人は、新しいユーザーとして数えられます。
SafariのITPとは何ですか?
Safariに組み込まれた追跡防止の仕組みです。サードパーティCookieを全面的にブロックするほか、JavaScriptで書いたCookieの期限を最長7日に縮め、追跡ができると判定されたドメインからパラメータ付きのURLで来た場合は24時間にします。どれもWebKitの公式ブログで公表されています。
日本のECサイトは、Cookieの利用に同意を取る必要がありますか?
総務省は、自社の商品をウェブサイトで販売する小売業者には、電気通信事業法の外部送信規律は適用されないと説明しています。個人情報保護法では、Cookieなどの識別子は、個人情報に当たらない場合、通常「個人関連情報」に当たります。提供先がそれを個人データとして取得することが想定される第三者提供では、本人の同意が取れていることの確認が必要です。詳しくはCookie同意バナーの記事で説明しています。個別の判断は弁護士などの専門家に確認してください。
- サードパーティCookieは、見ているサイトとは別のドメインが発行するCookie。GA4の _ga はファーストパーティCookie
- Chromeは廃止を取りやめ(2025年4月)、Privacy Sandboxの広告向け技術の多くは終了へ(2025年10月)。CHIPSやFedCMは残る
- Safariは2020年から全面ブロック。JavaScriptで書くCookieは最長7日、パラメータ付きの流入では24時間
- 広告はCookieに頼らない経路を足す。Google広告は拡張コンバージョン、Meta広告はコンバージョンAPIとイベントIDでの重複排除
- ECの計測漏れで効いているのは、購入完了ページが開かれない注文、広告ブロッカー、Safariの期限、同意の拒否。Cookieの廃止の話とは別に確かめる
この記事を書いた人永田 龍史
株式会社ULTRO 代表取締役Shopify Partner。Shopifyストアの構築・保守・広告運用・CRMを一気通貫で担当。個人として運用した広告費は累計40億円超。計測設計から逆算して、利益が伸びる仕組みを作っています。Google 広告の認定資格(検索・ディスプレイ・動画・ショッピング・アプリ・P-MAX・測定)と Google アナリティクス認定資格を保有。
経歴と執筆記事112本を見る → Xでフォローする @Ryushi_ULTRO →GA4の購入、どれだけ計測漏れしていますか?
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