サーバーサイドGTMとは?仕組み・費用と、Shopifyで拾えない購入

サーバーサイドGTMの仕組み、Cloud Run・Stapeの費用、ITPとCookie、Shopifyで使うときの注意点、Googleタグゲートウェイなど中間的な手段との比較、導入の判断の目安まで。
サーバーサイドGTMは、計測の精度を上げる方法として名前が挙がることの多い仕組みです。ただ、当社がShopifyのストアの計測を手伝う中で受ける相談には、「サーバーサイドにすれば、GA4に入っていない購入も入るのでは」という期待が多く含まれています。サーバーサイドGTMで良くなるのはCookieの持ちや送るデータの整え方で、ブラウザを通らない購入は、一般的な構成では増えません。
この記事では、サーバーサイドGTMの仕組み、費用の目安、できることとできないこと、Shopifyで使うときの注意点、Googleタグゲートウェイなど中間的な手段との違い、導入するかどうかの判断の目安を説明します。広告や計測を担当しているEC事業者の方と、導入を検討している制作・開発の方に向けた内容です。仕様と料金は2026年10月時点のものです。
サーバーサイドGTMとは
サーバーサイドGTMは、Googleタグマネージャー(GTM)のサーバー用のコンテナを自社のサーバーで動かし、ブラウザから届いた計測データをGA4やGoogle広告、Meta広告などに送り直す仕組みです。Googleのドキュメントでは「サーバーサイド タグ設定」(server-side tagging)と呼ばれ、サーバーサイドタグ、サーバーサイドタギング、sGTMとも呼ばれます。
ウェブコンテナ(クライアントサイドのGTM)は、購入者のブラウザの中でタグを動かし、ブラウザから各社のサーバーに直接データを送ります。サーバーサイドGTMでは、ブラウザはまず自社のサーバーにデータを送り、そこから先の送り分けをサーバーが行います。
| ウェブコンテナ(クライアントサイド) | サーバーサイドGTM(サーバーコンテナ) | |
|---|---|---|
| タグが動く場所 | 購入者のブラウザ | 自社が用意したサーバー |
| データの送り先 | ブラウザから各社へ直接 | ブラウザ→自社のサーバー→各社 |
| Cookie | 主にJavaScriptで書く | サーバーの応答で発行できる(自社ドメインで動かした場合) |
| データの加工 | ブラウザの中でできる範囲 | サーバーで項目を足す・消すなどができる |
| 費用 | 無料 | サーバー代と運用の手間がかかる |
| 必要なもの | GTMのアカウント | GTMのサーバーコンテナ、サーバー(Cloud Runなど)、できれば自社のサブドメイン |
サーバーサイドGTMのメリット・デメリット
サーバーサイドGTMのメリットは、データを自社のサーバーで管理できることとCookieの持ちが良くなることで、デメリットは費用と運用の手間、そして拾えない購入が残ることです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| データを自社の管理するサーバーで扱える(Googleが安全性の利点として挙げている) | サーバー代がかかる(Cloud Runの本番構成で月90ドル前後から) |
| 送る前に、個人情報を消す・項目を足すなどの加工ができる | ブラウザのタグ、サーバーコンテナ、サーバーの3か所を管理・保守する人が要る |
| 自社ドメインで動かせば、サーバーの応答でCookieを発行できる | Cookieの効果は、サイトと同じCDN・ドメインの構成で組めるかしだい |
| ブラウザで読み込む他社のタグを減らせる | ブラウザを通らない購入は、一般的な構成では拾えない |
Googleは、サイトで動くタグが減ることによる表示の軽さも利点に挙げています。ただ、データの入口になるGoogleタグはブラウザに残るので、表示速度が大きく変わるのは、Meta広告などほかの会社のタグをいくつもサーバー側に移せた場合だと当社は見ています。サーバーコンテナが止まっても、サイトの表示には影響しないとGoogleは説明しています。
サーバーサイドGTMの仕組み
サーバーサイドGTMは、ブラウザのタグが送ったデータを、サーバーコンテナの「クライアント」が受け取ってイベントに変換し、「タグ」が各社の形式にして送る、という流れで動きます。最初のデータはブラウザで生まれます。流れを先に図で示します。
- 購入者のブラウザで、GA4のタグ(Googleタグ)が動きます。送り先は、Googleではなく自社のサーバーコンテナのURLにしておきます
- サーバーコンテナの「クライアント」がリクエストを受け取ります。クライアントは、届いたデータをイベントの形に変換する部品で、GA4用のクライアントが最初から入っています
- トリガーの条件に合うと、サーバーコンテナの「タグ」が動きます。GA4のタグ、Google広告のコンバージョンのタグ、Meta広告のコンバージョンAPIのタグなどを置けます
- 各タグが、イベントを各社の形式に変換して送ります
1つの購入のイベントをブラウザから1回送るだけで、サーバー側でGA4、Google広告、Meta広告の3つに振り分けられます。ブラウザに置くタグが減るのは、この仕組みのためです。
『ネット広告運用“打ち手”大全 第2版』も、サーバーサイドGTMでも最初のシグナルはブラウザで取る、という前提で説明しています。同書は、サーバーサイドGTMを入れる目的を「タグを増やすこと」ではなく、CRMとの連携、媒体をまたいだイベントの定義の統一、厳格な同意の管理、多国展開などの「計測のガバナンス(統制)」に置いています。
1st party CookieとSafariのITP
サーバーサイドGTMを自社のサブドメインで動かすと、サーバーの応答で、自社ドメインのCookie(1st party Cookie)を発行できます。自社で集めるデータ全体の考え方はファーストパーティデータの記事にまとめています。Googleは、サーバーをサイトのサブドメイン(metrics.example.com など)か同じオリジン(www.example.com/metrics など)で動かすことを強く勧めていて、Cloud Runが最初に用意するドメイン(run.app)のままでは、サーバーから発行するCookieの利点は得られないとしています。
これがITP対策と言われる理由です。SafariのITP(Intelligent Tracking Prevention)は、JavaScriptで書いたCookieの期限を最長7日に縮めます(7日以内に再訪すれば延びます)。さらに、トラッカーと判定されたドメインから、クリックIDなどのパラメータ付きのURLで来た場合は、そのページでJavaScriptで書いたCookieの期限を24時間にします。サーバーの応答で発行したCookieには、この制限がかかりません。
ただし、WebKitの説明では、サーバーの応答で発行したCookieでも、次の表の下の2行の条件に当たると期限が7日に縮められます。
| Cookieの発行のされ方 | Safariでの期限 |
|---|---|
| JavaScriptで書いたCookie | 期限が最長7日に縮められる |
| トラッカーと判定されたドメインからパラメータ付きのURLで来たページで、JavaScriptで書いたCookie | 24時間 |
| サイトと同じインフラ(同じCDN・ドメインの構成)のサーバーが応答で発行したCookie | 上限なし |
| CNAMEで別の会社のサーバーに向けたサブドメインが発行したCookie | 7日 |
| サイトと違う会社のIPアドレスのサーバーが発行したCookie | 7日 |
サブドメインのDNSをCNAME(サブドメインを別のサーバーに向ける設定)でCloud Runに向けただけでは、下の2行に当たる可能性があります。Googleが「同じオリジン」の方式(CDN=ページを各地のサーバーから配る仕組みや、ロードバランサで、www.example.com/metrics のようにサイトのドメインの中のパスをサーバーに転送する)を最も勧めているのは、このためと考えられます。どのIPアドレスを「違う会社」と判定するかの細かい基準は、WebKitの公開ページでは確認できませんでした。
サーバーサイドGTMでできること・できないこと
サーバーサイドGTMでできるのは、ブラウザで起きたイベントの届け方と中身を良くすることです。ブラウザでイベントが起きなかった購入を、新しく作り出すことはできません。
表にすると、次のとおりです。
| 場面 | サーバーサイドGTMで | 理由 |
|---|---|---|
| ブラウザで読み込むタグ(他社のスクリプト)を減らしたい | できる | 1回の送信をサーバーで複数の送り先に振り分けられる |
| 送るデータを整えたい(個人情報を消す、項目を足す) | できる | サーバーで変換してから送れる |
| Cookieを長く保ちたい(Safari) | 条件つきでできる | サイトと同じCDN・ドメインの構成の中でサーバーを動かした場合 |
| 広告ブロッカーによる漏れを減らしたい | 一部できる | 自社ドメインへの送信はブロックされにくい。ただしGTMやGoogleタグの読み込み自体が止められると送れない |
| 外部の決済サービスから戻らない購入を拾いたい | できない | 完了ページが開かれず、ブラウザでイベントが起きない |
| AIアシスタントやSNSアプリの中で完結した購入を拾いたい | できない | ストアのページが開かれない |
| 定期購入の2回目以降を入れたい | できない(そのままでは) | 注文が自動で作られ、購入者はストアに来ない |
| 完了ページを開く前に閉じた購入を拾いたい | できない | タグが送る前に閉じられている |
下の4行は、タグの設定の問題ではなく、購入者のブラウザでタグが動く機会がそもそも無い購入です。当社が支援しているあるShopifyストアで、Shopifyの注文とGA4の購入を1件ずつ突き合わせたところ、GA4に入っていない注文は全体の21%で、コンビニ決済では約8割が欠けていました。くわしくはアトリビューションの記事に載せています。この種類の漏れは、サーバーサイドGTMに切り替えても縮まりません。
Shopifyの注文の通知(Webhook。注文が入るとShopifyがサーバーに自動で知らせる仕組み)をサーバーコンテナで受ければ、ブラウザを通らない購入も送れます。StapeのShopify向けアプリには、購入と返金のWebhookをサーバーコンテナに送る設定があります。ただしWebhookにはブラウザのCookieが含まれないので、どの訪問の購入かが分かりません。Stape自身も、Webhookは電話やオフラインの販売など、通常のオンラインの計測ができない場面の補助として勧めています。元の訪問のクライアントIDとの結びつけ、ブラウザのタグの購入との二重の排除、同意の確認は、別に組む必要があります。漏れの原因と確かめ方は、ShopifyでGA4の購入が計測漏れする原因と埋め方にまとめています。
サーバーサイドGTMの費用(Cloud Run・Stape)
サーバーサイドGTMの費用は、Google Cloud(Cloud Run)で自分で動かすなら、Googleの目安でサーバー1台あたり月30〜50ドルほどで、本番は2〜3台以上が勧められています。
GTMの画面から自動でサーバーを用意する方法(自動プロビジョニング)を選ぶと、Google Cloudのプロジェクトと、Cloud Runのサーバーが1台作られます。この構成はほとんどの場合無料ですが、Googleはテストの少量のトラフィック向けで、実際の訪問を流すなら台数を増やすよう案内しています。Googleのドキュメントは、ページによって勧める台数と金額が少しずつ違います。
| Googleのドキュメント | 本番で勧める台数 | 1台あたりの月額の目安 |
|---|---|---|
| Cloud Run の設定ガイド | 最低2台(2〜10台で自動増減) | 約45ドル(1 vCPU・メモリ0.5GB、CPUを常に割り当てる料金) |
| サーバーサイド タグ設定の概要 | 最低3台 | 30〜50ドル |
| 学習コース(日本語版、7章・8章) | 最低3台(3〜6台で毎秒50〜200件に対応。8章) | 約50ドル(7章) |
台数を掛けると、2台×45ドルで90ドル、3台×30〜50ドルで90〜150ドルで、サーバー代だけで月90〜150ドル前後が出発点です。このほかに、次の費用がかかることがあります。
- ログ:Cloud Runは既定で、届いたリクエストを1件ずつ記録します。Googleは、月100万件を超えるような場合はログの料金が大きくなりうるとして、記録を止めることを勧めています
- 外向きの通信:サーバーから各社に送るデータと、ブラウザに返す応答の量に応じてかかります。Googleのスクリプトをサーバー経由で配信すると増えます
- プレビュー用のサーバー:GTMのプレビュー機能を使うには、プレビュー用のサーバーを別に1つ用意します
- セールの時期:Googleは、ブラックフライデーのような大きなセールの前に、最低台数を増やしておくことを勧めています。台数が足りないと、そのあいだのデータは失われ、取り戻せません
予算の上限で請求を自動で止める設定にしていると、上限に達した時点で、その請求先アカウントにつながるサービスがすべて止まります。計測も止まるので、上限ではなく予算の通知(アラート)で見ておくほうが安全です。
Stapeなどのホスティングサービス
月50万リクエストに収まる規模のストアなら、StapeのProプラン(年払いで月17ドル)は、Cloud Runの本番構成の目安(月90ドル前後から)より安く、サーバーの保守も任せられます。Stapeは、サーバーサイド タグ設定専用のホスティングサービスで、料金表(2026年10月時点)は次のとおりです。
| プラン | 月額(年払い) | 月のリクエスト数 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | 1万まで |
| Pro | 17ドル(月払いの表示は20ドル) | 50万まで |
| Business | 83ドル(同100ドル) | 500万まで |
| Enterprise | 167ドル(同200ドル) | 2,000万まで |
リクエスト数は、注文の件数ではなく、ブラウザからサーバーに届いた送信の数です。1回の訪問で、ページビューや商品の閲覧、カートへの追加などのイベントごとに送信が起きるので、月のセッション数より大きな数字になります。プランを選ぶ前に、今のGA4のイベント数を見ておくと見当がつきます。
見落としやすいのは運用の手間
サーバー代より大きいのは、設計と運用の手間です。サーバーサイドGTMに切り替えると、ブラウザのタグ、サーバーコンテナ、Cloud RunやStapeの設定の3か所を管理することになり、イベントが届かないときの切り分けも3か所で行います。『ネット広告運用“打ち手”大全 第2版』は、サーバーサイドGTMへの投資の対象は「タグの実装」から「アーキテクチャとガバナンス」に移るとして、長期の運用体制まで計画するよう勧めています。制作会社や代理店に頼む場合も、作って終わりにせず、保守の担当者を決めてから発注します。
サーバーサイドGTMの導入手順
サーバーサイドGTMの導入は、サーバーコンテナを作るところから本番の準備まで、次の6つの手順です。ここでは概要だけを示し、設定の詳しい手順はGoogleの学習コース(参考にした情報を参照)に譲ります。
- サーバーコンテナを作る:GTMの「管理」でアカウントの「コンテナを作成」を選び、「コンテナの設定」の「ターゲット プラットフォーム」で「Server」(ここだけ英語表記)を選んで作成します
- タグ設定サーバーを用意する:作成のあとに出るダイアログで「タグ設定サーバーを自動的にプロビジョニングする」を選ぶか、既存のGoogle Cloudのプロジェクトに手動でCloud Runを立てるか、Stapeなどのサービスを使います
- 自社のドメインを向ける:サイトのサブドメイン、できれば同じオリジンのパスを、タグ設定サーバーに向けます。サブドメインなら、ドメインを管理している会社のDNSの設定にレコードを足します
- ブラウザのタグの送り先を変える:ウェブコンテナのGoogleタグの設定パラメータに
server_container_urlを足し、値にサーバーコンテナのURL(https://metrics.example.com など)を入れます - 送り先のタグを置く:サーバーコンテナに、GA4のタグなど送り先ごとのタグとトリガーを置き、プレビューでクライアントがリクエストを受け取り、タグが動いているかを確かめます
- 本番の準備をする:本番の訪問を流す前に、Cloud Runで「新しいリビジョンの編集とデプロイ」から台数を増やし、ログの記録を止めるかを決めます
サーバーコンテナのGA4クライアントには、「Cookie とクライアントの識別」という設定があり、「JavaScript 管理」と「サーバー管理」から選びます。Googleの学習コースは、最初は「JavaScript 管理」を選び、サーバーのドメインを自社のものにしてから「サーバー管理」を検討する流れで説明しています。この設定は、次の節で説明するとおり、過去のデータとのつながりに関わります。サーバーコンテナを作るには、GTMのアカウントで管理者の権限が要ります。権限の付け方はGTMの権限の記事にまとめています。
サーバーコンテナからGoogle広告のコンバージョンを送るときは、「Google 広告のコンバージョン トラッキング」タグに加えて、「コンバージョン リンカー」タグもサーバーコンテナに置きます。拡張コンバージョンもサーバーコンテナから送れます。考え方は拡張コンバージョンの記事にまとめています。
同意モードは、ウェブコンテナ側だけで設定します。Googleのドキュメントでは、同意バナーで選ばれた内容をGoogleタグが受け取り、サーバーコンテナへのリクエストに同意の状態を付けて送り、サーバーコンテナのGoogleのタグはそれに合わせて送る内容を変えます。地域ごとに同意の扱いを変える高度な同意モードを使うなら、タグ設定サーバーで「地域ごとの設定」も有効にします。
ShopifyでサーバーサイドGTMを使うときの注意点
ShopifyでサーバーサイドGTMを使うときに気をつけるのは、カスタムピクセルのサンドボックス、Shopifyの公式アプリとの二重送信、クライアントIDの切り替え、ストアのCDN・ドメインの構成の4つです。
カスタムピクセルのサンドボックス
ShopifyではGTMをカスタムピクセルの中で動かすため、ページの要素を読む計測は使えず、Shopifyの顧客イベントを受けて組む必要があります。チェックアウトや購入完了のページには、テーマのようにスクリプトを直接書けないので、管理画面の「顧客イベント」に入れるカスタムピクセルでGTMを動かすのが、Shopifyが案内している方法です。カスタムピクセルは「Laxサンドボックス」という、外部に送るデータを制限するための環境で読み込まれます。
Shopifyのヘルプでは、サンドボックスの中ではページの要素を読み取ってイベントや購入者の情報を拾うこと、外部リンクのクリックやスクロールを自動で拾うことができず、ページのURLも自動では正しく取れないと説明しています。GTMで計測するには、Shopifyが用意する顧客イベント(page_viewed、checkout_completed など)を受けて、データレイヤーに渡す形で組みます。GoogleのTag Assistantの「Troubleshoot tag」はカスタムピクセルでは使えず、確認にはShopify Pixel Helperを使うよう案内されています。カスタムピクセルの組み方は、Shopifyのカスタムピクセルの記事にまとめています。
Shopifyのドキュメントでは、購入完了のイベント(checkout_completed)は購入完了のページが読み込まれないと発生しません。購入後のアップセルを出しているストアでは、最初のオファーのページで発生し、完了ページでは発生しません。サーバーサイドGTMは、このイベントが起きたあとの届け方を変えるもので、イベントが起きなかった購入には効きません。
Google & YouTubeアプリ・Facebook & Instagramアプリとの二重送信
Google & YouTubeアプリでGA4を入れたままサーバーサイドGTMのGA4を足すと、同じ購入が二重に入ります。Google & YouTubeアプリの設定画面に、送り先をサーバーコンテナに変える項目は、当社では確認できませんでした。サーバーサイドGTMに切り替えるなら、GA4はどちらか一方の経路だけにします。
アプリで連携していても、ブラウザのタグで計測できない購入は残ります。「できること・できないこと」の節で触れた21%の実測も、Google & YouTubeアプリで連携しているストアのものです。自分のストアで注文とGA4を突き合わせて確かめてから、経路を決めます。
Google広告のコンバージョンも同じです。アプリのコンバージョン アクションと、サーバーコンテナのGoogle広告のタグが別々に購入を数えると、自動入札が二重の数字で学習します。二重になったときの見分け方は、GA4の購入が二重に入るときの記事で説明しています。アプリでの連携の仕方はShopifyとGA4の連携方法が参考になります。
Meta広告も同じです。Facebook & Instagramアプリはピクセルとコンバージョン APIの両方を送るので、アプリを入れたままサーバーコンテナからMetaのコンバージョンAPIのタグで購入を送ると、二重になります。サーバーコンテナから送る場合は、ブラウザのピクセルと同じイベント名とイベントID(event_id)を付けます。Metaは、この2つが一致するイベントが48時間以内に届けば、あとから届いた分を除きます。
クライアントIDの切り替えで過去とつながらなくなる
GA4クライアントの「Cookie とクライアントの識別」を「サーバー管理」にすると、サーバーがFPID(サーバーが発行するGA4用のCookie)を発行し、その値をクライアントID(GA4がブラウザごとに振る識別番号)として使います。FPIDは、ブラウザのJavaScriptからは読めないCookie(HttpOnly)です。
既存のサイトで移行の設定をせずに切り替えると、これまでのクライアントIDの代わりに新しいIDが使われ、既存のユーザーが新しいユーザーとして数え直されます。新規ユーザー数やリピートの分析が、切り替えの日を境に続かなくなります。GTMの画面には、それまでのJavaScriptのクライアントIDを引き継ぐ移行の設定がありますが、Googleの公開ドキュメントでは、この設定のくわしい動きは確認できませんでした。切り替える前に、検証用の環境で確かめることを勧めます。
もう1つ、当社が気にしているのは、後から購入を送る仕組みへの影響です。Measurement Protocolで購入を送るときは、ふつうブラウザの _ga Cookie からクライアントIDを読んで注文と結びつけます。サーバー管理に切り替えたあとは、GA4に届くIDと _ga の値が一致しない場合があり、後から送った購入が別の人の購入として入るおそれがあります(Googleの公開ドキュメントには、この点の記載は見つかりませんでした)。
ストアのCDN・ドメインの構成を変えられない
Shopifyのストアは、ページの配信(CDN)をShopifyが管理しています。Googleが最も勧める「同じオリジン」の方式は、ストアのドメインのパスをタグ設定サーバーに転送する設定が必要ですが、標準のShopifyストアでこれを組む公式の設定方法は見当たりません。サブドメインをCloud RunやStapeに向ける方式は組めますが、前の節で触れたとおり、SafariのITPではCookieの期限が7日に縮む条件に当たる可能性があります。Stapeは、この対策の機能(Cookie Keeper など)をShopify向けアプリでも案内しています。
Googleタグゲートウェイ・Meta CAPI Gatewayなど中間的な手段との比較
サーバーサイドGTMを入れる前に、もっと手軽な「中間的な手段」で目的が足りないかを確かめます。Meta広告の成果をサーバーからも送りたいなら、Shopifyでは公式連携で足りることが多くあります。
『ネット広告運用“打ち手”大全 第2版』は、計測を「基礎計測」「シグナル補完」「サーバーサイド」の3段階に分け、下から順に固めることを勧めています。Googleタグゲートウェイ(難易度は低〜中、Cloudflare経由の自動設定が最も簡単)やMetaのコンバージョンAPIゲートウェイ(難易度は低いが、CRMとの連携や長いアトリビューションは直接のコンバージョンAPIほど柔軟ではない)は、2段めの「中間的な手段」に入ります。
| 手段 | 何をするか | サーバーの用意 | 拾えない購入(ブラウザでタグが動かない)を補えるか | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| Googleタグゲートウェイ | Googleのタグの読み込みと送信の一部を、自社ドメイン経由にする | 不要(CDNやロードバランサの設定) | 補えない | Shopify以外のサイトで、Googleのタグを自社ドメインから届けたい。標準のShopifyストアには公式の設定方法がない(2026年10月時点) |
| サーバーサイドGTM | ブラウザのデータを自社のサーバーで受け、加工して複数の送り先に送る | 必要(Cloud Run、Stapeなど) | 一般的な構成では補えない | 計測のガバナンスを固めたい(同意、定義の統一、多国展開) |
| MetaのコンバージョンAPIゲートウェイ | Metaピクセルのイベントを、自社のクラウド環境からMetaにも送る | 必要(AWSなど。Stapeなどのホスティングもある) | 補えない | 公式連携がないサイトで、Meta広告だけをサーバー経由にしたい |
| Shopifyの公式連携(Facebook & Instagramアプリ) | Shopifyがピクセルとコンバージョン APIの両方を送る | 不要 | Meta広告については補える | Shopifyのストアで、Meta広告の成果を送りたい |
| 注文データからMeasurement Protocolで送る | Shopifyの注文を起点に、GA4に無い購入を送る | 自前なら必要。アプリなら不要 | 補える | GA4の計測漏れを埋めたい |
Googleのドキュメントは、Googleタグゲートウェイを耐久性の高いタグ設定として勧め、サーバーサイドGTMと組み合わせることも勧めています。ただし、Shopifyのヘルプにもタグゲートウェイのドキュメントにも、標準のShopifyストアでの設定方法は見当たりません。海外の計測会社も、ストアの前にCloudflareを置く標準の方式は、Shopifyがホストするストアでは使えないと伝えています。また、タグゲートウェイもサーバーサイドGTMも、最初のデータはブラウザで取る仕組みです。ShopifyでのMeta広告の送り方はShopifyのMetaコンバージョンAPI 3つの経路に、コンバージョンAPIそのものはコンバージョンAPIの記事にまとめています。
サーバーサイドGTMが必要なストア・要らないストア
サーバーサイドGTMが必要かは、ブラウザの計測と中間的な手段では要件を満たせなくなったかどうかで決めます。同書もこの基準を示しています。当社の目安は次のとおりです。
| ストアの状況 | サーバーサイドGTM | 先にやること・代わりの方法 |
|---|---|---|
| 複数の国でサイトを運営し、国ごとに同意の扱いを変えたい | 向いている | 同意バナーと同意モードの設定を先に固める |
| 自社のCRMや基幹システムのデータを、計測データと合わせて広告媒体に送りたい | 向いている | 送る項目と同意の範囲を先に決める |
| 社内か外部に、サーバーと計測を見続けられる人がいる | 前提を満たしている | — |
| GA4とGoogle広告、Meta広告を、Shopifyの公式アプリで入れている | 多くの場合は要らない | 基本の計測(1アクション1回、完了ページで動くか)を確かめる |
| GA4の購入がShopifyの注文より少ないのを直したい | これだけが目的なら合わない | 注文番号で突き合わせ、漏れた購入をMeasurement Protocolで送る |
| Safariの割合が高く、Cookieの期限が気になる | 効くかはCDN・ドメインの構成しだい | 同じオリジンで組めるかを先に確かめる |
当社が支援する国内のShopifyストアの多くは、表の下の3行に当たります。GA4やGoogle広告、Meta広告をShopifyの公式アプリで入れていて、困っているのは「GA4の購入が少ない」ことです。この場合、サーバーサイドGTMに切り替えても、困りごとの大きな部分は残ります。基本の計測の確かめ方はGA4の使い方の記事に、同意の扱いはCookie同意バナーの記事にまとめています。
GA4の計測漏れだけを直したいなら:Measurement Protocol
GA4の計測漏れを埋めることが目的なら、計測をまるごとサーバー経由に切り替えるより、注文データを起点にMeasurement ProtocolでGA4に送るほうが、目的に直結します。Measurement Protocolは、サーバーからGA4に直接イベントを送るGoogleの仕組みで、ブラウザを通らない購入も送れます。
送るときは、チェックアウトの時点で控えた元の訪問のクライアントIDとセッションIDを付けます。こうすると、後から送った購入にも元の訪問の参照元が付きます。仕様と期限はMeasurement Protocolとはにまとめています。
当社は、この方法をShopifyアプリ「GapFill」にしました。当社の製品なので、その前提で読んでください。サーバーサイドGTMのように計測を切り替えるのではなく、GA4で漏れた購入データを、サーバーサイドで補完します。既存のタグ設定はそのままで、Shopifyの注文とGA4の購入をトランザクションIDで照合し、注文から26時間たってもGA4に無い注文だけをMeasurement Protocolで送ります。計測漏れレポートは無料です。
ULTROのShopifyアプリGapFill|GA4で漏れた購入データを、サーバーサイドで補完既存のタグ設定はそのまま。計測漏れレポートは無料です。GapFillを見る →サーバーサイドGTMとGapFillは、どちらか一方を選ぶものではありません。計測のガバナンスのためにサーバーサイドGTMを入れているストアでも、拾えない購入は残るので、その分だけを足す使い方ができます。
導入後に確かめること
サーバーサイドGTMを入れたあとは、イベントが届いているか、二重になっていないか、漏れが減ったかの3点を確かめます。同書も、中間的な手段を入れたあとは、イベントの受信、ブラウザとサーバーの重複の除去、欠損の改善を確かめるよう勧めています。
- 届いているか:GA4の「リアルタイム」やDebugViewで、サーバーコンテナから送ったイベントが出るか。サーバーコンテナのプレビューで、クライアントがリクエストを受け取り、タグが動いているか
- 二重になっていないか:GA4の探索で、ディメンション「取引 ID」(トランザクションIDのGA4の画面での名前)ごとの指標「トランザクション」が2以上になっていないか。Google広告で購入のコンバージョン アクションが2つ「メイン」になっていないか(キーイベントの扱いはキーイベントの記事を参照)
- 漏れが減ったか:Shopifyの注文番号とGA4のトランザクションIDを1件ずつ突き合わせ、切り替えの前後で、GA4に無い注文の割合と決済方法ごとの偏りを比べる
- ユーザー数が急に増えていないか:切り替えの日に新規ユーザーが跳ねていれば、クライアントIDが入れ替わっています。GA4のユーザー数とセッションの記事の数え方と見比べます
- 参照元が崩れていないか:(not set) や direct が急に増えていないか。原因の探し方はGA4の(not set)・directが多い原因にまとめています
探索でディメンションを足すときは、「ディメンションの選択」で「e コマース」の中の「取引 ID」を選び、右上の「確認」を押します。
切り替えの前後で数字を比べるときは、切り替えた日を記録しておきます。『クッキー規制を乗り越える! 新しいデジタルマーケティングの本』は、計測の条件が変わった期間をそのまま比べないこと、代わりの計測を入れても欠測がなくなったとは扱わないことを勧めています。
参考にした情報
- Server-side tagging(Google for Developers)
- An introduction to server-side tagging(Google for Developers)
- Cloud Run setup guide(Google for Developers)
- Custom domain configuration(Google for Developers)
- Send data to server-side Tag Manager(Google for Developers)
- Prepare for high traffic events(Google for Developers)
- Google アナリティクス 4 データ ストリームの設定(Server-side tagging fundamentals、Google for Developers)
- インフラストラクチャの計画(Server-side tagging fundamentals、Google for Developers)
- ライブ トラフィック対応に向けたサーバーのアップグレード(Server-side tagging fundamentals、Google for Developers)
- 広告主様向け Google タグ ゲートウェイとは(Google for Developers)
- 広告主様向け Google タグ ゲートウェイを設定する(Google for Developers)
- Tracking Prevention in WebKit(WebKit)
- Intelligent Tracking Prevention 2.1(WebKit)
- Implement consent mode with server-side Tag Manager(Google for Developers)
- Google Ads conversions(server-side Tag Manager、Google for Developers)
- カスタムピクセル(Shopify ヘルプセンター)
- ピクセルの概要(Shopify ヘルプセンター)
- Google タグマネージャーのカスタムピクセルを作成する(Shopify ヘルプセンター)
- Web Pixels API(Shopify.dev)
- checkout_completed(Shopify.dev)
- Handling Duplicate Pixel and Conversions API Events(Meta for Developers)
- Conversions API Gateway setup(Meta for Developers)
- 料金(Stape)
- Shopify 向け Stape Conversion Tracking アプリ(Stape)
- Server-side Google Analytics 4 for Shopify(Stape)
- Google Tag Gateway for Shopify(Analyzify、2026年8月)
- ネット広告運用“打ち手”大全 第2版 AI時代に成果を上げる 最強の戦略103(寳洋平・釜周平・ザンノーニ ダリオ)
- クッキー規制を乗り越える! 新しいデジタルマーケティングの本(広瀬安彦)
よくある質問
サーバーサイドGTMとは何ですか?
Googleタグマネージャーのサーバー用のコンテナを自社のサーバーで動かし、ブラウザから届いた計測データを受けて、GA4やGoogle広告、Meta広告などに送り直す仕組みです。英語ではserver-side tagging、略してsGTMとも呼ばれます。ブラウザで動くタグの数を減らせることと、データを自社のサーバーで整えてから送れることが主な違いです。
サーバーサイドGTMの費用はいくらですか?
Google Cloud(Cloud Run)で動かす場合、Googleのドキュメントの目安はサーバー1台あたり月30〜50ドルほどで、本番では最低2〜3台が勧められています。台数を掛けると、サーバー代だけで月90〜150ドル前後が出発点です。ログやデータの外向きの通信が多いと、さらにかかります。Stapeなどのホスティングサービスを使う場合は、2026年10月時点で月1万リクエストまで無料、50万リクエストまでで年払い月17ドルなどのプランがあります。月50万リクエストに収まる規模なら、Cloud Runの本番構成より安く、サーバーの保守も任せられます。
サーバーサイドGTMは無料で使えますか?
試すだけなら、ほぼ無料です。GTMの画面から自動でサーバーを用意すると、Cloud Runのサーバーが1台作られ、ほとんどの場合は無料枠に収まります。ただしGoogleはこの構成をテストの少量のトラフィック向けとしていて、本番では台数を増やすよう案内しています。Stapeにも月1万リクエストまでの無料プランがありますが、ストアの実際の訪問を流すと、多くの場合は足りません。
サーバーサイドGTMにすれば、GA4の計測漏れはなくなりますか?
ブラウザから送る一般的な構成では、なくなりません。サーバーサイドGTMは、ブラウザで起きたイベントを受けて送り直す仕組みなので、外部の決済サービスから戻らない購入や、AI・SNSアプリの中で完結した購入など、ブラウザでタグが動かなかった購入は、もとのデータが無く拾えません。この分を埋めるには、注文データを起点にMeasurement ProtocolでGA4に送る方法を使います。
サーバーサイドGTMはITP対策になりますか?
条件によります。Safariは、JavaScriptで書いたCookieの期限を最長7日に縮めますが、サーバーの応答で発行したCookieにはこの上限がかかりません。ただしWebKitの説明では、CNAMEで別の会社のサーバーに向けたサブドメインや、サイトと違う会社のIPアドレスから発行したCookieにも7日の上限がかかります。サイトと同じCDN・ドメインの構成の中でサーバーを動かせるかで、効き方が変わります。
ShopifyでもサーバーサイドGTMは使えますか?
使えます。カスタムピクセルにGTMを入れてサーバーコンテナに送る、Stapeなどの専用アプリを使う、といった方法があります。ただし、カスタムピクセルはLaxサンドボックスという制限のある環境で動くこと、Google & YouTubeアプリのGA4と二重に送らないようにすること、クライアントIDの管理方法を変えると過去のユーザーとつながらなくなることに気をつけます。また、Googleが最も勧める同じドメインの中のパスで動かす方式や、Googleタグゲートウェイは、標準のShopifyストアでは公式の設定方法がありません。
サーバーサイドGTMとGoogleタグゲートウェイの違いは何ですか?
Googleタグゲートウェイは、Googleのタグとその送信を自社ドメイン経由にする仕組みで、CDNやロードバランサの設定で導入でき、サーバーコンテナは要りません。サーバーサイドGTMは、データを自社のサーバーで受けて加工し、複数の送り先に振り分けられます。Shopify以外のサイトでGoogleのタグを自社ドメインから届けたいだけならタグゲートウェイ、データの中身や送り先まで管理したいならサーバーサイドGTMです。標準のShopifyストアでは、タグゲートウェイの公式の設定方法がありません(2026年10月時点)。
- サーバーサイドGTMは、ブラウザのタグが送ったデータを自社のサーバーで受けて、GA4や広告媒体に送り直す仕組み。最初のデータはブラウザで取る
- ブラウザから送る一般的な構成では、ブラウザでタグが動かなかった購入(外部決済から戻らない、AI・SNSアプリ内、定期購入の2回目以降)は拾えない
- 費用はGoogleの目安でサーバー1台あたり月30〜50ドル、本番は2〜3台以上。Stapeなどのホスティングなら月数十ドルから。運用する人の手間も費用に入れる
- Shopifyでは、カスタムピクセルのサンドボックス、Google & YouTubeアプリとの二重送信、クライアントIDの切り替えに注意する
- Shopify以外のサイトでGoogleのタグを自社ドメインから届けたいだけならGoogleタグゲートウェイ(標準のShopifyストアには公式の設定方法がない)。Meta広告はShopifyの公式連携で足りることが多い。サーバーサイドGTMは計測のガバナンス(統制)を固めたい会社のための仕組み
この記事を書いた人永田 龍史
株式会社ULTRO 代表取締役Shopify Partner。Shopifyストアの構築・保守・広告運用・CRMを一気通貫で担当。個人として運用した広告費は累計40億円超。計測設計から逆算して、利益が伸びる仕組みを作っています。Google 広告の認定資格(検索・ディスプレイ・動画・ショッピング・アプリ・P-MAX・測定)と Google アナリティクス認定資格を保有。
経歴と執筆記事112本を見る → Xでフォローする @Ryushi_ULTRO →GA4の購入、どれだけ計測漏れしていますか?
Shopifyの注文とGA4の購入を照合して、漏れた購入データをサーバーサイドで補完するアプリ「GapFill」を作りました。既存のタグ設定はそのままで、計測漏れレポートは無料です。原因と確かめ方はこちらの記事にまとめています。
自分のストアでは、どうなっているか。
無料診断では、あなたのShopifyの実データを見てサイトの健康状態を確認し、何から直すべきかを改善案とあわせてご提案します。