インスタ広告の費用|相場とECでの予算の決め方、課金のしくみ

相場の一覧ではなく、1件の購入にいくらまで払えるかと、学習が終わる件数から予算の下限を出す手順でまとめました。
Instagram広告(インスタ広告)の費用を調べると、「CPCは40〜100円」「CPMは500〜1,000円」「月3万〜10万円から」といった相場の一覧が並びます。ただ、この数字をMetaが公表しているわけではありません。実際に予算を決めるときに要るのは相場ではなく、(1)自社の商品が1件売れたときに広告費へいくらまで回せるのか(2)配信が安定するまでに購入が何件必要なのか、の2つです。CPC(クリック1回あたりの費用)やCPM(1,000回表示あたりの費用)は、その結果として出てくる数字にすぎません。
この記事では、Metaの公式ヘルプに書かれていることだけを使って、課金のしくみ・予算の振れ幅・公式の最低予算を整理したうえで、EC(自社サイトでの物販)で月いくら用意すべきかを逆算する手順をまとめます。管理画面の名称は2026年10月時点のものです。
アカウントや支払い方法の用意がまだならインスタ広告の出し方を先に読んでください。この記事はその続きで、費用の話だけを扱います。
この先、Metaの用語がいくつか出てきます。広告はキャンペーン(目的を決めるいちばん上の箱)、広告セット(誰に・いくらで出すかを決める中間の箱)、広告(実際の画像や文章)の3階層になっていて、予算は原則として広告セットかキャンペーンに設定します。最適化イベントは「この行動を取りそうな人を探してほしい」とMetaに伝える指定で、ECなら「購入」「カートに追加」などを選びます。
インスタ広告の費用は「相場」では決まらない
Metaはインスタ広告の料金表を公開していません。公式ヘルプにあるのは、費用がどう決まるかのしくみと、予算の設定に関するルールだけです。CPCやCPMの目安、業種別のベンチマークは公式に示されていません。
よく見る説明と、Metaが実際に書いていることを並べると次のようになります。
| よく見る説明 | Metaの公式ヘルプの記載 |
|---|---|
| CPCは40〜100円、CPMは500〜1,000円 | 相場やベンチマークの記載は見当たらない |
| 1日100円から出せる | 1日の最小予算は米ドルで定義され、円建てのアカウントでは広告セットの作成時に換算して判定される。インプレッション課金は0.50米ドル、日本は2倍 |
| 設定した1日の予算が上限 | 1日の予算は上限ではなく1週間の平均値。多い日は最大75%超過する |
| 入札額の高い広告が勝つ | 入札価格・推定アクション率・広告品質の合計で決まり、関連性の高い広告が入札価格の高い広告に勝つことがある |
| 予算を増やせば比例して成果が増える | 大きく増やすと情報収集期間(学習)に入り直す場合がある |
相場の数字が記事によって桁ひとつ違うことがあるのは、目的も最適化イベントも業種も違うものを、同じ「CPM」という名前で並べているからです。自社の数字を基準にしない限り、相場を見ても予算は決まりません。
課金のしくみ|CPMとCPCのどちらでお金が減るのか
既定はインプレッション課金(CPM)
Metaは「広告の作成時に特に指定されない限り、通常、広告が獲得したインプレッション数に基づいて料金が請求されます」としています。クリックされなくても、表示された時点で予算は減ります。
課金の対象は広告セットの「課金対象」で設定します。公式ヘルプには「選択できる課金対象は、選んだ目的によって変わります」とあり、目的ごとに何が選べるかの一覧表は公開されていません。Marketing APIのリファレンスに挙がっているものは次のとおりです。
| 課金対象 | 料金が発生するタイミング |
|---|---|
| インプレッション(CPM) | 広告が表示されたとき |
| リンククリック(CPC) | 広告のリンクがクリックされたとき |
| クリック | 広告のどこかがクリックされたとき |
| ThruPlay | 動画が最後まで、または15秒以上再生されたとき |
| ページへの「いいね!」 | ページに「いいね!」されたとき |
| 投稿のエンゲージメント | 投稿にエンゲージメントがあったとき |
| アプリインストール | アプリがインストールされたとき |
これはAPI上の選択肢の一覧で、広告マネージャの画面で実際に選べるのは目的によって一部に絞られます。ECの売上キャンペーンでは、実質インプレッションとリンククリックの2つです。
作ったばかりのアカウントでインプレッション以外を選べないことがあります。これは仕様で、公式ヘルプには「新しい広告アカウントを作成した場合、インプレッションでの課金で10米ドル以上を消化してからでないと、他の課金対象に切り替えられない」と書かれています。
オークションで1回ずつ決まる
広告の費用がオークションでどう決まるかを、先に図で示します。
インスタ広告の費用は、広告が表示される機会ごとにMetaのオークションで1回ずつ決まります。落札するのは「全体的な価値」がいちばん高い広告で、その価値は次の3つで決まります。
- 入札価格 — 広告主が目的達成のために支払う用意がある金額
- 推定アクション率 — その人が広告でアクションを実行する、またはコンバージョンに至る可能性の推計値
- 広告品質 — 広告を見た人・非表示にした人のフィードバックや、情報の隠ぺい・扇情的な表現などから判断される品質
Metaは「推定アクション率と広告品質から、広告の関連度が測定されます」「利用者との関連性が高い広告が、入札価格の高い広告を差し置いてオークションで落札される可能性があります」と説明しています。同じ商材・同じ予算でもCPMが人によって違うのは、この2つが違うからです。
支払う額については「オークションの調整により、広告を表示するための入札価格以上の請求を行うことはありません」とあります。一方で「2番目に高い入札額に1円足した額を支払う」といったセカンドプライスの説明は、日本語・英語のヘルプとも見当たりませんでした。公式に言えるのは、入札価格が上限になることと、最低価格(価格下限)が支払う価格に影響する場合があることの2点です。
クリック単価や表示単価の読み方そのものは、指標の記事にまとめています。
CPM・CPC・CTRの関係はCPM・CPC・CTRの違いで整理しています。
1日の予算は上限ではない
Metaの広告で設定できる予算は「1日の予算」と「通算予算」の2つで、1日の予算は上限ではなく、1週間(日曜〜土曜)の1日あたりの平均額です。
| 1日の予算 | 通算予算 | |
|---|---|---|
| 意味 | 1週間(日〜土)で1日あたりに消化する目標額 | 掲載期間全体で消化する合計額 |
| 上限かどうか | 上限ではない。平均値 | 超えてはならない上限 |
| 1日の振れ幅 | 使う日は1日の予算の最大175%まで(=75%の超過まで)。使わない日はそれを下回る | — |
| 1週間の上限 | 1日の予算の7倍(広告セットの予算共有をオンにしている場合は8.4倍) | — |
| 1日未満のスケジュール | 使えない | こちらを使う |
つまり1日1万円に設定しても、ある日は1万7,500円使い、別の日は5,000円しか使いません。ならして1週間で7万円を超えない、という仕組みです。公式ヘルプの例では、1日の予算が100米ドルの場合、1週間で700米ドルを超えることはなく、1日の中で最大175米ドルを消化する日があり、100米ドルに満たない日もあります。広告セットの予算共有をオンにすると、他の広告セットと1日の柔軟な予算の最大20%を共有でき、1日あたりの上限は210米ドル、1週間の上限は840米ドルまで上がります。週の途中で開始したり予算を変えたりした場合は、残りの日数で消化する金額に1日の予算の最大25%分が上乗せされることがあります。
消化金額が「1日の予算×1.75」や「1日の予算×7日」を超えた場合は、超えた分の全額返金が検討される対象になる、とも書かれています。
なお公式ヘルプ(「予算について」)には「一部のMeta広告マネージャアカウントで、1日の予算の柔軟性の引き上げが段階的に行われています」という告知が出ています。±75%はこの引き上げが適用された後の姿で、未適用のアカウントでは振れ幅がこれより小さいことになります。同じ告知には、キャンペーンが7日未満の場合は「1日の予算×キャンペーンの日数」が合計の上限になる、というルールも書かれています。
Advantage+ キャンペーン予算
複数の広告セットを使うときは、キャンペーン単位で予算を持たせる「Advantage+ キャンペーン予算」(旧称:キャンペーン予算の最適化)が使えます。売上・リード・アプリの宣伝のキャンペーンでは既定で有効になります。
使うときの注意は、広告セットごとの消化額が均一にならないことです。Metaも「広告セットレベルではなく、キャンペーンレベルで結果を分析することが重要になります」としています。広告セットごとに予算を固定したいなら、Advantage+ キャンペーン予算ではなく広告セット予算を使います。
- 自動化の範囲はAdvantage+の使い方にまとめました
公式の最低予算はいくらか
Metaが公式に定めるインスタ広告の1日の最小予算は、インプレッション課金で0.50米ドル、日本の広告アカウントはその2倍の1.00米ドルです。ヘルプセンターに通貨別の表はなく、数値はMarketing APIのリファレンスに載っています(入札戦略が「最大数量」の場合、2026年10月時点の記載)。
| 課金対象 | 1日の最小予算 | 日本の広告アカウント | 参考(1米ドル=150円の場合) |
|---|---|---|---|
| インプレッション | 0.50米ドル | 1.00米ドル | 約150円 |
| クリック/「いいね!」/動画再生 | 2.50米ドル | 5.00米ドル | 約750円 |
| 低頻度のアクション(アプリインストールなど) | 40米ドル | 40米ドル | 約6,000円 |
日本はオーストラリア・カナダ・ドイツ・英国・米国などとともに「表に記載された値の2倍」が適用される国に挙げられています。低頻度のアクションは2倍ルールの例外です。右端の列は規模をつかむための換算の例で、Metaが円建ての最低額を公表しているわけではありません。レートが動けば、円で見たときの下限も動きます。
注意点が4つあります。
- 円建ての最低額は公式に存在しません。 値は米ドルで定義されていて、公式には「USD以外の通貨の予算は、広告セットの作成時に換算され、検証されます」とあります。管理画面の入力は円でも、下限の判定は米ドル側なので、円でいくらになるかは換算によって動きます。どのレートをいつ更新して使うかは公式に書かれていないため、「下限は何円」と固定で覚えるのではなく、広告セットの作成時にエラーが出るかどうかで確かめるのが確実です。公式にも「掲載されている予算額は説明用のものであり、状況によって変更される可能性があります」と但し書きがあります
- 通算予算にも同じ最低額が適用されます。 1日の最小予算が5米ドルなら、5日間のキャンペーンは25米ドル以上が必要です
- 結果の単価目標を使うと最低額が上がります。 1日の予算は単価目標の5倍以上が必要です(単価目標5米ドルなら1日25米ドル以上)
- 入札価格上限はさらに別のルールです。 インプレッション課金なら「1日の予算 ≧ 入札価格上限の額」、クリック/アクション課金なら「1日の予算 ≧ 入札価格上限の5倍」が必要です。上限入札を引き上げたときに広告セットが保存できなくなるのはこれが原因で、予算を触らずに入札だけ上げることはできません
出せる下限と、成果が出る下限は別物です。公式ヘルプも「予算が最小予算を満たしているが最適な結果を得られるほどの金額ではない可能性がある場合、広告マネージャにおすすめの金額が表示される場合があります」としています。
1日100円・500円でインスタ広告は出せるか
1日100円では、いまのドル円の水準ではインスタ広告は出せません。日本の広告アカウントの下限がインプレッション課金で1.00米ドルで、円建ての予算は広告セットの作成時に米ドルへ換算して判定されるからです。1ドル150円なら下限は150円前後になります。1日500円ならインプレッション課金で設定自体は通ります。
ただし、出せることと成果が出ることは別です。仮にCPM 1,000円・CTR 1.0%・CVR 1.0%を置いて計算すると次のようになります。
| 1日の予算 | 1週間 | 表示回数 | クリック | 購入 |
|---|---|---|---|---|
| 500円 | 3,500円 | 3,500回 | 35回 | 0.35件 |
| 1,000円 | 7,000円 | 7,000回 | 70回 | 0.7件 |
| 3,000円 | 21,000円 | 21,000回 | 210回 | 2.1件 |
| 17,000円 | 119,000円 | 119,000回 | 1,190回 | 11.9件 |
CPM・CTR・CVRはMetaの公表値ではなく、計算のしかたを示すための仮の数字です。自社の実績値を入れて計算し直してください。見てのとおり、この帯では次の節で出す「1週間に約50件」には届きません。少額で始めること自体は問題ありませんが、その場合は最初の数週間の目的を「購入を増やす」ではなく「自社のCPMとCTRの実績値を取る」に置いたほうが、判断を間違えずに済みます。
ECでの予算の決め方
ECでのインスタ広告の予算は、1件の購入に払える上限(許容CPA)に、学習が終わる目安の50件を掛けて、1週間の下限を出すところから決めます。手順は3つです。
1. 1件の購入にいくらまで払えるかを出す
1件の購入に払える上限は、限界CPA(これを超えると赤字になる金額)と許容CPA(目標利益を残したうえでの運用上限)の2つで管理します。『ネット広告運用“打ち手”大全 第2版』は、広告費をコストではなく投資として扱い、この2つで管理することを勧めています。同書の計算例は、1件の売上1万円・原価40%・経費20%なら限界CPAは4,000円、目標利益を10%とすると許容CPAは3,000円、というものです。
これをECの数字に置き換えると次のようになります。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 客単価(送料・税を除く) | 8,000円 |
| 原価率 40% | −3,200円 |
| 経費率(決済手数料・配送・梱包など)20% | −1,600円 |
| 限界CPA(ここを超えると赤字) | 3,200円 |
| 目標利益率 10%(800円)を確保 | −800円 |
| 許容CPA(運用の目標上限) | 2,400円 |
リピートのある商材なら、1回目の購入ではなく一定期間の粗利で考えます。
- 期間あたりの粗利の出し方はLTVの計算方法にまとめています
計算の手順はCPAとはで順を追って説明しています。
2. 学習が終わる件数を置く
Metaの情報収集期間(学習)は、広告セットが1週間以内に約50件の結果を獲得すると終わります。公式ヘルプは「配信システムが広告セットの最適な配信方法に関する学習をやめることはありませんが、情報収集期間は安定して配信できるようになり次第終了します。これは通常、広告セットに最後に大きな編集を加えてから1週間以内に約50件の結果を獲得した後です」と説明しています。
押さえるべきなのは次の4点です。
- 50件は広告セットあたりの件数で、アカウント全体やキャンペーン全体ではありません
- 情報収集期間中は「パフォーマンスの安定度は低くなり、通常、CPAは高くなります」。この期間の数字で良し悪しを判断しない前提です
- ショップ広告(Instagram・Facebook内のショップで購入が完結するもの)は条件が別で、「ウェブサイトを通じて最低17件、Metaを通じて最低5件の購入」が必要です。Shopifyなど自社サイトに着地させる広告はこれにあたらず、50件のほうが目安になります
- 何件と数えるかは広告セットのアトリビューション設定で変わります。検討期間の長い商材で計測の窓を短くすると、同じ売上でも計上される件数が減り、50件に届かないまま学習が終わらないことがあります
1週間で50件に届く見込みがないと、広告セットの[配信]列に「情報収集が不十分」と表示されます。公式ヘルプはこれを「ペナルティではありません」としたうえで、「現在の設定では広告配信システムがパフォーマンスを最適化できないため、予算が効果的に消化されていないことを示しています」と説明しています。
3. かけ算して1週間の下限を出す
許容CPAと50件が決まれば、1つの広告セットが1週間に必要な金額の目安が出ます。
1週間の予算の下限 ≒ 許容CPA(円/件) × 50件/週
1件に2,400円まで払えるなら、1週間で50件買うには 2,400円 × 50件 = 12万円が要る、という掛け算です。月あたりにすると約52万円。広告セットを2つに分ければ、同じ考え方で2倍要ります。
ここで1つ補正が要ります。前の節のとおり、Metaは「情報収集期間中は通常CPAは高くなります」と明記しています。許容CPAちょうどで50件を見積もると、最初の1週間は届かないほうが普通です。立ち上げの週は、安定後の目安より多めに見ておいてください。
「月3万円から」という相場の話と比べると大きな額に見えますが、これは「購入」で最適化した広告セットを設計どおりに学習させきるための金額です。用意できなくても出稿はできます。学習が終わらないまま配信される、というだけで、成果がゼロになるわけではありません。ULTROでは、この金額を用意できるかどうかで打ち手を変えています(ここからは当社の考え方です)。
| 月に使える広告費 | 取れる構え |
|---|---|
| 逆算した下限を用意できる | 購入で最適化し、広告セットを増やさずに1本で回す |
| 下限の半分程度 | 最適化イベントを購入より手前(カートに追加など)に変える。件数は増えるが、質は落ちる前提で見る |
| それ未満 | 広告セットを1本に統合し、オーディエンスを広げる。週単位ではなく月単位で判断する |
購入までの歩留まりを上げれば、必要な広告費は下がります。
- サイト側でできることはECサイトのCVRにまとめました
件数が足りないときの順番
最適化イベントを手前に変える手当ては、Metaの公式ヘルプも「情報収集が不十分」の対処として挙げています(「最適化イベントを変更する(例えば、「購入」から「カートに追加」に変更します)」)。実際に回すときは、安いものから順に打ちます。
- 数えるところから。 広告マネージャの[列をカスタマイズ]で「最適化イベント」を列として追加します。公式も対処法の中でこれを案内しています。推定ではなく、この列の実数を50件と比べます
- 統合を先、イベントの変更を後。 広告セットを1本に寄せれば件数はそのまま足し算になり、質は落ちません。最適化イベントを浅くすると件数は増えますが、購入する層とのズレが出ます
- 重複を確認。 同じ人に複数の広告セットで入札していないかを見ます。重複が出ているなら、予算を足しても件数は増えません。同じ人への重複配信がどう効くかはフリークエンシーで扱っています
- 戻す条件を先に決める。 カートに追加で最適化している間に、カートに追加から購入までの実測率を取ります。「カートに追加の単価 ÷ その率」が許容CPAを下回る週が続いたら購入に戻す、というように、戻す条件は始める時点で決めておきます
- 変更は週に1回まで。 1〜4のどれも「大幅な編集」に当たりえます。同じ週に2つ触ると、どちらが効いたのか判定できないまま学習がやり直しになります
公式ヘルプは「情報収集が不十分」になる要因として、オーディエンスサイズが小さい、予算が少ない、入札価格やコストコントロールが低い、オークションの重複率が高い、最適化イベントの頻度が低い、一度に掲載する広告が多すぎる、を挙げています。予算を足す前に、まず構成を疑ってください。
購入イベントがそもそも正しく送れていないと、50件に届いているのに届いていないことになります。
計測側の土台はMeta コンバージョンAPIの記事で扱っています。
入札戦略で費用はどう変わるか
Metaの入札戦略は「消化金額に基づく入札」「目標に基づく入札」「手動入札」の3種類で、どれを選ぶかによって同じ予算でも単価の決まり方が変わります。2026年10月時点の公式ヘルプの名称は次のとおりです。
| 入札戦略 | 分類 | 費用の決まり方 |
|---|---|---|
| 最大数量 | 消化金額に基づく | 予算を使い切って成果数を最大化する。CPAの最適化は行わず、競争が激しくなればCPAは上がる |
| バリュー最大化 | 消化金額に基づく | 予算を使い切って購入金額を最大化する。コンバージョン値の最適化が必要 |
| 結果の単価目標 | 目標に基づく | 週平均の単価を目標付近に維持する。目標が守られる保証はない |
| ROAS目標 | 目標に基づく | 週平均のROASを目標付近に維持する。ピクセルまたはSDKでコンバージョンイベントを計測していることが前提 |
| 入札価格上限 | 手動 | オークションごとの入札価格の上限を決める。実際に支払う額ではなく最高入札価格を決めるもの |
公式ヘルプは目標に基づく入札について「最高のパフォーマンスを得るには、週50~100件以上のコンバージョンを目指すことをおすすめします」としています。件数が足りないうちは、目標を設定するより最大数量でベースラインを作るほうが先です。公式にも「過去のデータがない場合は、まず最大数量またはバリュー最大化のキャンペーンを実施してベースラインを確立し、その結果を出発点として使用してください」と書かれています。
目標値の置き方の目安も示されています。結果の単価目標なら「最近の平均CPAを10〜20%上回る価格」、ROAS目標なら「最近の平均ROASを10〜20%下回る価格」から始める、という内容です。
- ROASの考え方そのものはROASとはを参照してください
なお目標に基づく入札では「市場の競争が激しくなりすぎた場合、システムは規模の拡大よりもターゲット値を守ることを優先します」とあり、予算を使い切らないことがあります。消化金額が伸びないときに、配信の不調ではなく入札戦略の仕様であることは珍しくありません。
予算を変えるときの注意
インスタ広告の予算変更は、変更の度合いが大きいと広告セットを情報収集期間に入り直させます。公式ヘルプは「大幅な編集を行った場合にのみ、広告セットが再び情報収集期間に入ります」としたうえで、予算については変更の度合いで判断されると説明しています。
例えば、予算を$100から$101に増やした程度では、1つ以上の広告セットが再び情報収集期間に入る可能性はほとんどありません。しかし、予算を$100から$1,000に変更した場合は、1つ以上の広告セットが再び情報収集期間に入る可能性が高くなります。
大幅な編集として明記されているのは、ターゲット設定の変更・クリエイティブの変更・最適化イベントの変更・広告セットへの新しい広告の追加・広告セットの7日以上の停止・入札戦略の変更です。予算と入札コントロールの金額は「変更の度合いに応じて」判断されます。
Advantage+ キャンペーン予算を使っている場合、システムが自動で予算を配分するぶんには広告セットは入り直しません。1つの広告セットを編集しても、同じキャンペーンの他の広告セットには波及しません。ただし公式は、キャンペーン予算の金額そのものを調整したときと、キャンペーンの入札戦略を切り替えたときは、キャンペーン内の複数の広告セットが再び情報収集期間に入ることがあると注記しています。広告セット予算なら影響が1本で済むところが、キャンペーン予算では全体に及ぶということです。増額を小刻みにするかどうかは、この差を前提に決めてください。
通算予算を減らすときにはルールがあります。「新しい金額を現在の消化金額以上に設定し、かつ過去2日間の消化金額の10%分を上乗せする」必要があり、現時点の消化が300米ドル・直近2日が100米ドルなら、新しい予算は310米ドル以上でなければ設定できません。
支払いと請求のしくみ
Metaの広告費は月末にまとめて請求されるとは限らず、消化金額が「支払い単位額」に達した時点でも自動的に請求されます。公式ヘルプの定義は「広告費用の請求が行われる基準となる消化金額のこと」です。クレジットカードやPayPalで支払っている場合、月に複数回請求されることも、広告を止めた後に請求が発生することもあります。
押さえておく点は次のとおりです。
- 支払い単位額に達しても広告は止まりません。請求が立つだけです
- 支払い単位額の初期金額は公式に示されておらず、支払い実績に応じて自動で引き上げられます。広告マネージャの[請求と支払い]→[支払い設定]から上限を設定できます(画面の場所はMeta広告マネージャの使い方を参照)
- 請求日の時点で未払いが1.00米ドルに満たない場合は、その月は請求されません
- 銀行引き落としや手動決済、利用可能残高(前払い)を使っている場合、支払い単位額は適用されません
配信を止める「上限」は、予算とは別に3つあります。公式ヘルプは「これらの金額のほとんどは広告主が管理または設定できますが、1日の上限予算とプリペイド残高の上限はMetaによって設定されます」としています。
| 名称 | 誰が設定するか | 上限に達したときの挙動 |
|---|---|---|
| 1日の上限予算 | Meta(広告と支払いの履歴に基づく) | 広告が一時停止し、アカウントの時間帯で午前0時に再開 |
| キャンペーンの上限予算 | 広告主 | そのキャンペーン内の広告セットと広告がすべて停止 |
| 広告アカウントの上限予算 | 広告主 | アカウント内のすべてのキャンペーンが停止。[支払い設定]から手動でリセット |
使いすぎを止めたいときに自分で設定できるのは、下の2つです。
消費税の扱いは契約先で変わります。公式ヘルプには、Facebook Japan合同会社が発行する請求書では「合計請求額に10%の消費税が上乗せされています」とある一方、「アンマネージドカスタマーは今後もMeta Platforms Ireland Limited(旧Facebook Ireland Limited)との契約となり、請求書に現地税が記載されることはありません」と書かれています。自分で広告マネージャから出稿している多くのEC事業者は後者です。続けて「日本の税法に従い、自らの責任で日本の消費税を納めることが義務付けられている場合があります」ともあります。扱いは事業者の状況で変わるので、最初の請求書([請求と支払い]からダウンロードできます)を1枚、顧問の税理士に見せてください。出稿前に片づけておく必要はありません。
代理店に頼む場合にかかる費用
広告代理店に運用を委託する場合は、広告費とは別に運用手数料がかかります。多いのは広告費に対する料率制で、ここに初期費用やクリエイティブの制作費が加わることがあります。前の節までに出した「許容CPA × 50件」は広告費そのものの下限なので、委託するなら手数料分を上乗せして見込む必要があります。
手数料の相場と内訳は広告代理店の手数料で整理しています。
よくある3つの誤解
「1日の予算を決めれば使いすぎはない」 — 1日の予算は平均値で、1日あたり175%まで振れます。使いすぎを止めたいなら、通算予算か、キャンペーン単位・広告アカウント単位の「上限予算」を設定します。名前の似た「1日の上限予算」は広告主が設定する枠ではなく、Metaが支払い実績に応じて自動で決める枠です。
「CPCが安ければ良い配信」 — 課金の既定はインプレッションです。CPCはCPMとCTRの結果として出てくる数字で、CPCが安くても購入に遠い人ばかり集めていれば意味がありません。見るのは購入の単価です。
「相場どおりのCPMなら正常」 — Metaは相場を公表していません。他社の記事の数字は業種も目的も最適化イベントも違います。比べる相手は、自社の先月の同じ広告セットです。
参考にした情報
- 広告オークションについて(Meta ビジネスヘルプセンター)
- Metaの広告料金の請求のしくみ(同上)
- 請求について(課金対象)(同上)
- 予算について(同上)
- 1日の予算について(同上)
- 最小予算のベストプラクティス(同上)
- 予算、上限予算、プリペイド残高の上限と支払い単位額の違いについて(同上)
- Advantage+ キャンペーン予算について(同上)
- Advantage+ キャンペーン予算を設定する(同上)
- 情報収集期間について(同上)
- 「情報収集が不十分」について(同上)
- 大幅な編集と情報収集期間(同上)
- Metaの入札戦略について(同上)
- ROAS目標について(同上)
- Metaが広告料金を請求するタイミング(同上)
- Metaの現地販売体制に伴う国内マネージドエージェンシーおよびカスタマーの請求変更 - 日本(同上)
- Marketing API 広告セットリファレンス(入札・予算の検証)(Meta for Developers)
- ネット広告運用“打ち手”大全 第2版 AI時代に成果を上げる 最強の戦略103(寳洋平・釜周平・ザンノーニ ダリオ)
よくある質問
インスタ広告は1日いくらから出せますか?
Metaが公式に示している1日の最小予算は、課金対象がインプレッションの場合で0.50米ドルです。日本を含む24の国・地域ではこれが2倍になるため、1.00米ドルが下限です。クリックや動画再生で課金する場合は2.50米ドル(日本は5.00米ドル)になります。円建ての金額は公式には示されておらず、「USD以外の通貨の予算は、広告セットの作成時に換算され、検証されます」とあるだけです。管理画面の入力は円でも判定の基準は米ドル側なので、円での下限は換算によって動きます。1ドル150円なら150円前後が目安です。
インスタ広告は1日100円で効果がありますか?
いまのドル円の水準では、1日100円は設定そのものが通りません。日本の広告アカウントの下限はインプレッション課金で1.00米ドルで、円建ての予算は広告セットの作成時に換算して判定されるためです(1ドル150円なら150円前後)。設定が通る金額でも、広告セットが学習(情報収集期間)を終える目安は1週間で約50件の結果なので、1日数百円の水準では「購入」での最適化は成立しません。その帯で出すなら、購入より手前のイベントで最適化し、週ではなく月単位で判断する前提になります。
インスタ広告は1週間でどれくらい費用がかかりますか?
1日の予算の7倍が1週間(日曜〜土曜)の上限です。1日1,000円なら1週間7,000円までで、その範囲で日によって最大75%の振れ幅があります。広告セットの予算共有をオンにしている場合だけは、1週間の上限が1日の予算の8.4倍まで上がります。上限を超えて消化された分は、返金が検討される対象になります。
インスタ広告のCPC・CPMの相場はいくらですか?
Metaは相場やベンチマークを公表していません。よく見かける「CPC 40〜100円」「CPM 500〜1,000円」といった数字は各社が自社の運用実績からまとめたもので、出典のない記事も多くあります。同じ商材でも目的・最適化イベント・オーディエンス・競合の入札状況で変わるため、比べる相手は他社の相場ではなく自社の先月の実績です。
ECだと月いくら用意すればいいですか?
商材で変わるので一律の金額はありませんが、下限は計算できます。1件の購入に払える上限(許容CPA)に、広告セットが学習を終える目安の50件を掛けると、1つの広告セットが1週間に必要な金額の目安が出ます。許容CPAが2,400円なら1週間で約12万円、月あたり約52万円です。学習中は単価が高くなるため、最初の1週間はこれでも届かないことがあります。
インスタ広告の請求に消費税はかかりますか?
自分で広告マネージャから出稿している広告主(アンマネージドカスタマー)はMeta Platforms Ireland Limitedとの契約になり、Metaの公式ヘルプには「請求書に現地税が記載されることはありません」と書かれています。あわせて「日本の税法に従い、自らの責任で日本の消費税を納めることが義務付けられている場合があります」ともあるため、申告の扱いは顧問の税理士に確認してください。Facebook Japan合同会社から請求書を受け取る広告主の場合は、合計請求額に10%の消費税が上乗せされます。
- インスタ広告に料金表はなく、費用は表示のたびにオークションで決まる。落札の判断は入札価格・推定アクション率・広告品質の3つで、入札価格を超える請求はされない
- 課金の対象は既定でインプレッション。目的によって選べる課金対象が変わり、新規アカウントはインプレッション課金で10米ドル消化するまで変更できない
- 1日の予算は上限ではなく1週間の平均値。多い日は最大75%超過し、1日175%・1週間7倍(予算共有時は8.4倍)は超えない
- 公式の1日の最小予算はインプレッション課金で0.50米ドル、日本は2倍の1.00米ドル。円建ての金額は公式に存在せず、作成時に換算して判定されるので円での下限はレート次第で動く
- ECの予算は、1件の購入に払える上限(許容CPA)×学習に必要な50件で1週間の下限を出す。届かないなら最適化イベントや広告セットの構成を先に見直す
この記事を書いた人永田 龍史
株式会社ULTRO 代表取締役Shopify Partner。Shopifyストアの構築・保守・広告運用・CRMを一気通貫で担当。個人として運用した広告費は累計40億円超。計測設計から逆算して、利益が伸びる仕組みを作っています。Google 広告の認定資格(検索・ディスプレイ・動画・ショッピング・アプリ・P-MAX・測定)と Google アナリティクス認定資格を保有。
経歴と執筆記事112本を見る → Xでフォローする @Ryushi_ULTRO →自分のストアでは、どうなっているか。
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